全国で市民病院問題が噴出している。すでに廃止を決めた自治体、大幅な規模縮小を図る自治体がある。そんな中、民間移譲での再生を企画、自ら再選挙に打って出ることで信を問い、強力に改革を進めているのが樋渡武雄市長だ。その革新的な改革プロセスを紹介する。

第1回 「降ってわいた市民病院問題」


■市長、あんたバカじゃないのか

「忘れもしません、あれは市長になって2ヶ月後でした。企画部の部長が深刻な顔してやってきて『市民病院がガンだ、もう持たないって』いきなり告げられたんです」

2006年、当時36歳だった樋渡啓祐氏は、全国最年少市長として注目を集めた。樋渡氏は地方都市武雄の復興を公約に掲げて当選したが、市民病院に関しては問題があることすら知らなかったという。

「病院問題なんて僕の中ではプライオリティゼロですよ。聞いてみたら、確かに累積赤字が5億3000万円ぐらいになってる。とはいえ一般会計への影響はまだない。それだったら良いじゃないかと答えたら、あんたバカじゃないかって責められたんです」



企画部長の真意は、手遅れになる前の治療の必要性をアピールすることにあった。なるほどガンならば体力のあるうちに思い切って手術すれば、まだ回復の可能性はある。

「言われてみれば正論。早期発見早期治療、体力の残っている今、舵を切るのが市長の仕事でしょうとたたみ込まれました。もっともな意見なんだけれど、何でその役目が僕なのって思いましたよ、正直なところ」

就任間もない新市長に病院問題の深層がわかるべくもない。そもそも樋渡氏は、市民病院のガバナンスが誰にあるのかさえ知らなかったという。


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