公務員の天下りを全面禁止することが決定したようであるが、実は抜け道はいくらでもあるので、天下り禁止だけでは天下りはなくならない。

抜け道のひとつは、現職のまま関連公益法人に出向することである。人事手続き上は「退職」であるが、退職金は支払われない。しかし、2年とか3年の「ミソギ」の期間を設けて、その後、法人から請われた形で役所への依願退職と公益法人への再就職をするのである。その時点で退職金を受け取る

次に、ハローワーク経由で再就職することである。「営業部長募集 年収○○○円 公務員経験者優遇」という求人を、役所と関連の深い業団体経由で募集させる。
採用不採用は個別企業の判断であるから、「公務員経験者」を優遇採用しても何の問題もないことになる。

これらの再就職にクレームを付ければ、憲法第22条に定める「職業選択の自由」の侵害だと逆襲される。

こうした抜け道は、ほかにもあるので、本当に天下りを全面禁止するのであれば、公務員経験者を一定職位(課長や部長など)に就業させている企業の、官公庁入札契約参加も禁止すべきであろう。

また、コンサルティング業務などの発注については、公益法人との特命随意契約も全面禁止し、一般競争入札に移行すべきである。

公務員OBは、現役時代の「顔」で仕事を取ってくるのであるから、顔で仕事ができなくなった公務員OBを採用する企業はいなくなる。

もっとも、これとて抜け道は存在し、現在実施されている「役所退職後2年間は関連企業への再就職は禁止」措置のため、2年間のミソギ期間を過ごすための別会社が用意されているのが実態なので、ミソギ会社にハローワーク経由で再就職し、その後に関連企業に転職するという方法もある。

本当に天下りが根絶されるかどうか、役所との知恵比べのゴングが鳴ったというべきであろう。私企業の資本的・人的関係まで洗い出すことはなかなか難しい。

なお、同じ再就職でも、役所の元課長や部長が、退職後にビルの警備員などとして働くのであれば、国民からの批判は出ないであろう。
もちろん警備員も大事な仕事であり、自分の実力で再就職したのであるから問題はないのだ。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)

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