【浦和論究】産みの苦しみを乗り越えろ
3月下旬から4月下旬にかけての公式戦5戦連続無失点での5連勝を思えば、
公式戦4戦連続無得点で4連敗を喫したことで生まれる焦燥感は仕方ない。
また、出場機会の乏しかった三都主、赤星、野田がチームを離れた。
現有戦力で戦うことへの不安の声が挙がっているのも事実。
だが、大事なのは、何を目指し、そのために何をするかだ。
そう思えば、急ぐことに何のメリットがあるというのか。
目指す先を見据えて、今のレッズがすべきことを考える。
深い“穴”にはまり込んでしまった浦和レッズ。リーグ第18節大分戦から第20節清水戦まで、ナビスコカップも含めて4連敗・4戦連続無得点を喫したチームは、第20節終了後のリーグ中断期間を利用して今、立て直しを図っている。
連敗前からチームのバイオリズムは下降気味だった。ナビスコカップ予選リーグ突破を果たした第7節大宮戦を一つのピークとし、浦和の試合内容は次第に減退していったように思える。
ただし、その当時と今とでは問題点、改善点が変化している。リーグ第14節横浜FM戦の敗因はチームを離れていた日本代表組の田中マルクス闘莉王、阿部勇樹、都築龍太の3人が既存選手と融合できなかった点にあったのは前号の本稿で記した。その後、チームは連勝を果たすわけだが、バックラインの設定不備、相手カウンターへの対処などがおざなりで、結果は得つつも内容が伴わない試合が続いた。
だが、この状況から再び変化が起きる。それは連敗が始まった大分戦で闘莉王が腹直筋を痛めて戦線離脱したことが主因となっている。絶対的な守備の要を失ったチームは一層守備面におけるリスクを抱え、一方で相手の研究対象にも遭って攻撃面においても閉塞感を露呈し、現在に至っている。
それでもフォルカー・フィンケ監督は楽観的な見方を崩さない。4連敗を喫したリーグ第20節清水戦後に、指揮官はこう語っている。
「確かに、ここ数試合得点を決めることができていないということは、しっかりと分析をしなければいけないと思っています。しかしそれでも、今わたしたちが今年に入ってから進もうとしている道の全体を把握してください。わたしたちはとてもいい方向に進んでいると思いますし、今日の試合でもゴールを挙げることができるようなチャンス、決定機をたくさんつくることができていたと思います」
確かに浦和は大半の試合でボールポゼッション率が高く、それなりに好機も創出している。その傾向は今季始めから一貫しており、スタイルに変化はない。そもそも今季序盤に連勝を重ねていた時期も得点数は少なく、千載一遇のチャンスを確実に決めて勝ち点を積み上げてきた。実際、第20節終了現在で浦和はリーグ4位、得点24、失点22。得点数だけでいえばリーグ全体で12位タイと下位に沈んでいる。
それでは、現在の連敗は好機を生かせない決定力だけが問題なのだろうか。事はそれほど単純ではないと考える。
リスクを負うアグレッシブな守備戦術がつたないと悲劇
フィンケ監督が浦和の監督に就任してからというもの、チームは一つのフィロソフィーを掲げて戦術に取り組んできた。その最たる現象としてショートパスの多用が挙げられる。局面における数的優位性を生み、コンビネーションで相手を打開する。それにはショートパスを有用に織り交ぜることが必要とされ、その結果相手を翻ほんろう弄し、ゴールへと向かうことができる。
このスタイルに変化はない。連敗中のチームにおいてもその指針は貫かれていた。しかし、今では結果が以前と相反している。
一つの理由は相手が浦和のスタイルを研究し尽くしている点にある。
対戦相手は浦和をポゼッション型のチームと見極め、局面に人数を割く形を採ると認識している。ならばと彼らは、浦和が注力する局面とは別の、すなわちスペースを空ける局面へいかにボールを送り込むかを考える。
名古屋や清水はシンプルな打開策を採った。彼らはそれぞれケネディ、ヨンセンといったターゲットマンが最前線に構え、その周囲を衛星のように玉田圭司、岡崎慎司が動くという2トップを擁している。それを踏まえた上で、まずはターゲットへの素早いボール配給を行い、次にセカンドボールへの迅速な反応、そして最後は浦和守備陣を左右、縦横にスライドさせた上でフィニッシュに至る形を貫徹していた。
名古屋と清水に共通していたのは守から攻への素早い切り替え、そして機転を利かせたサイドチェンジが効果的に作用していた点だ。局面に人数を割くことを念頭に置く浦和はもちろん攻撃だけでなく守備においてもそれを実践しようとするが、その共通認識を対相手は逆手に取り、浦和のチームバランスを崩すことに成功した。
例を挙げて説明してみよう。リーグ第19節名古屋戦の1失点目。名古屋は左サイドの阿部翔平がボールを保持していた。これに対して浦和はチーム全体が右(名古屋から見て左)へスライドして相手が使いたいスペースを消そうとした。ちなみに、この場面で浦和の左サイドバック・高橋峻希は極端とも言える“絞り”で中央へとポジションを取り、いわばセンターバックのような役割へと変化していた。だが、このときの浦和はボールホルダーである阿部への寄せが甘く、簡単にアーリークロスを逆サイドのゴール前へ上げさせてしまった。
リスクを負うアグレッシブな守備戦術がつたないと悲劇だ。ケネディを狙った阿部のアーリークロスに対して、浦和は坪井慶介と阿部勇樹の両センターバックが競ったが、そのこぼれ球を小川佳純に拾われてしまう。このとき浦和は小川に対して中に絞っていた高橋が対応したが、同時に坪井と阿部の二人もボール方向へ寄せている。これもチーム戦術的には忠実な動きで、いわゆるボールサイドへの複数人の関与を実践しているのだが、またまたその寄せが甘く、小川にマイナス方向気味のクロスを中央へ供給され、最後は玉田に翻ほんろう弄された揚げ句に正面からフィニッシュされた。
失点のシーンをひも解くと、浦和の選手はチーム戦術を実践しつつも、その実行度が低いために陥落している。厳しい言い方をすると、スタイルに対して技術・体力が追い付いていないのだ。
公式戦4戦連続無得点で4連敗を喫したことで生まれる焦燥感は仕方ない。
また、出場機会の乏しかった三都主、赤星、野田がチームを離れた。
現有戦力で戦うことへの不安の声が挙がっているのも事実。
だが、大事なのは、何を目指し、そのために何をするかだ。
そう思えば、急ぐことに何のメリットがあるというのか。
目指す先を見据えて、今のレッズがすべきことを考える。
深い“穴”にはまり込んでしまった浦和レッズ。リーグ第18節大分戦から第20節清水戦まで、ナビスコカップも含めて4連敗・4戦連続無得点を喫したチームは、第20節終了後のリーグ中断期間を利用して今、立て直しを図っている。
連敗前からチームのバイオリズムは下降気味だった。ナビスコカップ予選リーグ突破を果たした第7節大宮戦を一つのピークとし、浦和の試合内容は次第に減退していったように思える。
ただし、その当時と今とでは問題点、改善点が変化している。リーグ第14節横浜FM戦の敗因はチームを離れていた日本代表組の田中マルクス闘莉王、阿部勇樹、都築龍太の3人が既存選手と融合できなかった点にあったのは前号の本稿で記した。その後、チームは連勝を果たすわけだが、バックラインの設定不備、相手カウンターへの対処などがおざなりで、結果は得つつも内容が伴わない試合が続いた。
だが、この状況から再び変化が起きる。それは連敗が始まった大分戦で闘莉王が腹直筋を痛めて戦線離脱したことが主因となっている。絶対的な守備の要を失ったチームは一層守備面におけるリスクを抱え、一方で相手の研究対象にも遭って攻撃面においても閉塞感を露呈し、現在に至っている。
それでもフォルカー・フィンケ監督は楽観的な見方を崩さない。4連敗を喫したリーグ第20節清水戦後に、指揮官はこう語っている。
「確かに、ここ数試合得点を決めることができていないということは、しっかりと分析をしなければいけないと思っています。しかしそれでも、今わたしたちが今年に入ってから進もうとしている道の全体を把握してください。わたしたちはとてもいい方向に進んでいると思いますし、今日の試合でもゴールを挙げることができるようなチャンス、決定機をたくさんつくることができていたと思います」
確かに浦和は大半の試合でボールポゼッション率が高く、それなりに好機も創出している。その傾向は今季始めから一貫しており、スタイルに変化はない。そもそも今季序盤に連勝を重ねていた時期も得点数は少なく、千載一遇のチャンスを確実に決めて勝ち点を積み上げてきた。実際、第20節終了現在で浦和はリーグ4位、得点24、失点22。得点数だけでいえばリーグ全体で12位タイと下位に沈んでいる。
それでは、現在の連敗は好機を生かせない決定力だけが問題なのだろうか。事はそれほど単純ではないと考える。
リスクを負うアグレッシブな守備戦術がつたないと悲劇
フィンケ監督が浦和の監督に就任してからというもの、チームは一つのフィロソフィーを掲げて戦術に取り組んできた。その最たる現象としてショートパスの多用が挙げられる。局面における数的優位性を生み、コンビネーションで相手を打開する。それにはショートパスを有用に織り交ぜることが必要とされ、その結果相手を翻ほんろう弄し、ゴールへと向かうことができる。
このスタイルに変化はない。連敗中のチームにおいてもその指針は貫かれていた。しかし、今では結果が以前と相反している。
一つの理由は相手が浦和のスタイルを研究し尽くしている点にある。
対戦相手は浦和をポゼッション型のチームと見極め、局面に人数を割く形を採ると認識している。ならばと彼らは、浦和が注力する局面とは別の、すなわちスペースを空ける局面へいかにボールを送り込むかを考える。
名古屋や清水はシンプルな打開策を採った。彼らはそれぞれケネディ、ヨンセンといったターゲットマンが最前線に構え、その周囲を衛星のように玉田圭司、岡崎慎司が動くという2トップを擁している。それを踏まえた上で、まずはターゲットへの素早いボール配給を行い、次にセカンドボールへの迅速な反応、そして最後は浦和守備陣を左右、縦横にスライドさせた上でフィニッシュに至る形を貫徹していた。
名古屋と清水に共通していたのは守から攻への素早い切り替え、そして機転を利かせたサイドチェンジが効果的に作用していた点だ。局面に人数を割くことを念頭に置く浦和はもちろん攻撃だけでなく守備においてもそれを実践しようとするが、その共通認識を対相手は逆手に取り、浦和のチームバランスを崩すことに成功した。
例を挙げて説明してみよう。リーグ第19節名古屋戦の1失点目。名古屋は左サイドの阿部翔平がボールを保持していた。これに対して浦和はチーム全体が右(名古屋から見て左)へスライドして相手が使いたいスペースを消そうとした。ちなみに、この場面で浦和の左サイドバック・高橋峻希は極端とも言える“絞り”で中央へとポジションを取り、いわばセンターバックのような役割へと変化していた。だが、このときの浦和はボールホルダーである阿部への寄せが甘く、簡単にアーリークロスを逆サイドのゴール前へ上げさせてしまった。
リスクを負うアグレッシブな守備戦術がつたないと悲劇だ。ケネディを狙った阿部のアーリークロスに対して、浦和は坪井慶介と阿部勇樹の両センターバックが競ったが、そのこぼれ球を小川佳純に拾われてしまう。このとき浦和は小川に対して中に絞っていた高橋が対応したが、同時に坪井と阿部の二人もボール方向へ寄せている。これもチーム戦術的には忠実な動きで、いわゆるボールサイドへの複数人の関与を実践しているのだが、またまたその寄せが甘く、小川にマイナス方向気味のクロスを中央へ供給され、最後は玉田に翻ほんろう弄された揚げ句に正面からフィニッシュされた。
失点のシーンをひも解くと、浦和の選手はチーム戦術を実践しつつも、その実行度が低いために陥落している。厳しい言い方をすると、スタイルに対して技術・体力が追い付いていないのだ。
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