元WEC世界ライトヘビー級王者スティーブ・キャントウェル。腰に巻かれたベルトはなくなり、WECでそのベルトを奪ったブライアン・スタンとの決着戦に挑む。ちなみに前回の世界戦はVERSUSのライブカードとして全米に中継された――

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オクラホマシティのコックス・コンベンションセンターで、16日(水・現地時間)に行なわれるUFC FIGHT NIGHT『Diaz vs Guillard』は、UFC以外のプロモーションならメイン級のカードが並ぶプレリミナリーにも楽しみなファイトが多い。

元WEC世界ライトヘビー級王者対決となるブライアン・スタン×スティーブ・キャントウェル戦に、IFLやエリートXC、そしてアフリクションと非UFCプロモーションを渡り歩いたマイク・パイルと、同じくIFLやボードッグで飛躍のきっかけを掴んだクリス・ウィルソンの対決。さらにはTUFシーズン7のスター=CB・ダラウェーは、元IFL世界ミドル級王者ダン・ミラーと対戦する予定だったが、ミラーの負傷で無名のブラジル人ジェイ・シルバとの対戦となる。

いずれにしても、これらのファイターが、UFCファイトナイトですらプレリミナリーでの出場という事実が、彼らの層の厚さを端的に表している。

他プロモーションならトップクラスの彼らだが、キャントウェルのUFC戦績は1勝1敗(通算7勝2敗)、スタンは1戦1敗(同6勝2敗)。パイルも1戦1敗(同19勝6敗1分)で、ウィルソンは1勝2敗(同14勝5敗)。TUF上がりのダラウェーは2勝2敗(同9勝2敗)と、これを証明するような成績となっている。

日本の岡見勇信が「UFCはエンドレスに続くトーナメントのないトーナメント戦」という主旨の発言をしたことがあったように、厳しい戦いが続くUFCでは、敗者復活戦は多くて2試合。2つ以上、あるいは3試合黒星が先行すると、リリースされる覚悟が必要だ。

WECから契約が移管されたファイターたちの契約内容が他のファイターたちと、どのような違いがあるかは明らかになっていないが、元WEC世界ライトヘビー級王者対決は崖っぷちのサバイバル戦であることは間違いない。

しかも、この両者はWEC時代に2度対戦しており1勝1敗のイーブンの戦績となっており、このプレリミナリーの一戦が決着戦ということになる。殴り合い上等のスタイルで、WECでは勝利を重ねた両者だが、メインイベンターでもTVスターでもなくなった今、彼らは勝つために堅い戦略を選択する可能性も十分にある。

距離の取り方、ディフェンス能力も問われる戦いは、WEC時代とは一味違ったMMAとなるだろう。

また、5月のUFC98で待望のオクタゴンデビューを飾りながら、急遽出場、準備不足もありブロック・ラーソンに敗れたパイルは、日本の戦極で郷野聡寛をKOで下したダン・ホーンバックルを三角絞めで下すなど、UFCでは少ない寝技重視のファイターだ。

デビュー10年、今でこそエクストリーム・クートゥアーの一員として活躍するが、既に34歳。テネシー出身、打撃を磨くためにデンマークへ移り住み、そのデンマークを始めリトアニア、ロシアでキャリアを重ねたパイル。

米国に帰国後もオレゴンのスポートファイト、旧WEC、GFC(グレイシー・ファイティング・チャンピオンシップ)、ストライクフォース、カナダメジャーだったHCF(ハードコア。ファイティング・チャンピオンシップ)で試合をこなすなど、まさにMMA界の酸いも甘いも知り抜く。

そんな彼にとって、ウィルソン戦は前回のラーソン戦と違い、言い訳のできない状況で、本当の意味でのUFCデビュー戦となる。一方のウィルソンもスティーブ・ブルを相手に勝利を収めているが、ジョン・フィッチ、そしてジョン・ハワードに敗北を喫しており、パイル戦で遅れを取ることになれば、その先がどうなるかは見えている。

テイクダウン能力でパイルを凌ぐウィルソンだが、打撃は互角。そしてグラウンドワークで下になることを意に介さないパイルが相手だけに、厳しい一戦となることが予想される。

TUFシーズン1勢の長期間の活躍により、一度本契約を済ませると安泰のようなイメージが持たれているが、敗者復活となったシーズン4、ライト級新規開拓で優秀な人材が集まったシーズン5を除けば、シーズン2からシーズン6の出演者で、今もUFCに残っているファイターは、メルビン・ギラード、エド・ハーマン、マット・ハミル、ベン・サンダース、ジョージ・ソティロパロスぐらいのもの。