CD文化からコンサート文化へ Jポップは「聴く」よりも「観る」時代

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 CDが売れないといわれる中、音楽コンサート市場は活況を呈しているようだ。日本経済新聞の9月10日付朝刊では、ぴあ総研による「集客型エンターテイメントのチケット市場規模」に関するレポートを引用し、2008年の音楽コンサートの市場規模が前年比3.9%増の約1,503億円となったと報じている。同年の音楽ソフト市場規模が前年比約92%の約3,617億円にとどまったこと(日本レコード協会統計資料)を踏まえると、コンサートビジネスは異例の高成長を遂げているといえる。

 これは、日本に限った話ではない。音楽業界は世界的にコンサートビジネスへとシフトしており、有力なアーティストほどコンサート活動で稼ぐ傾向がある。たとえば米国の歌手・マドンナの場合、先月終了した世界ツアーにおいて計32カ国で350万人のファンを動員し、4億800万ドル(約375億9,700万円)の収益を上げている。一方で、マドンナのCD販売のポテンシャルはヒット作でも世界で500万枚程度と見られており、インターネット等の音楽配信分を勘案しても、コンサートにおける収益には遠く及ばない。彼女は現在「ライヴ・ネーション」という全米随一のコンサート興行会社とCDリリースやマーチャンダイズ権を含む包括契約を結び、すでに活動の中心を明確にコンサートへと移している。

 もっとも、日本と欧米では大きく異なる点がある。それは、出演者に支払われるギャランティの額だ。マドンナやプリンス、U2といった大物アーティストがコンサートのたびに莫大な対価を得るのに対し、日本のアーティストのそれは相対的に低く抑えられており、いまだに「CDのプロモーション」名目のコンサート活動から抜け出せないのが実情というのだ。

「日本のコンサート業界は、長年の興行上の慣行もあり、欧米よりも著しく高コスト体質なのです。そのため、チケットの売り上げが伸びても、出演者に支払われる金額はさほど増えていないのが現状です。他方、関連グッズの売り上げは伸びているため、アーティスト側のコンサート重視の傾向は続いていますが、今後はチケットの売上げからどれだけ出演者に還元できるかが課題でしょう」(興行関係者)

 ここ数年、エイベックスやSMEといった大手レコード会社は、コンサート興行を自前で行うグループ会社を設立し、ユーザーの消費動向に合わせたビジネスモデルへの転換を図っている。そうした"業態変換"の結果、コンサート興行における高コスト体質の改善が期待される一方、CD文化がさらに衰退する可能性は高まりそうだ。
(文=玉井光太郎)



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