13カ月振りの復帰戦はオクラホマ大会。グレイ・メイナードという厳し対戦相手をマッチアップされたロジャー・フエルタ

写真拡大

16日(水・現地時間)、5カ月ぶりに開催されるUFC FIGHT NIGHTは、オクラホマ州の州都オクラホマシティで行なわれる初めてのUFCとなる。オクラホマ州全体では、94年の12月に行われた第4回タルサ大会以来、同州では実に15年振りのUFCとなる。

ただ、UFC開催は15年振りでも、近年の北米におけるMMA人気の拡大現象はオクラホマ州でも明らかになっている。4月には新興ESPN DEPORTESで中継されたベラトールFCのイベントがオクラホマシティ郊外ノーマンで開催され、今大会の10日後には躍進中ストライクフォースの人材育成大会=SHOMMA Strikeforce Challenger Seriesがタルサで行なわれる予定だ。

北米各地で巻き起こるMMAブーム、その勢いに後押しされ、UFCはキャパシティ1万3000人以上のコックス・コンベンションセンターに乗りこむ。そんな同大会のラインナップにはUFC人気の原動力となったTUF卒業生の名前が揃っており、メインのライト級でもTUFシーズン5ウィナーのネイト・ディアズが、TUF3でその潜在能力の高さが評判だったメルビン・ギラードと対戦する。

極め重視、下からの仕掛けも多彩なネイトだが、今年に入って1月のグレイ・グィダ、6月のジョー・スティーブンソン――と連敗中、UFCデビュー以来築き上げた5連勝という貯金を使い果たした預金ゼロ状態にある。

一方のギラードもUFC戦績5勝3敗と、そのポテンシャルをフルに発揮しているとは言い難いが、ここ2試合はデニス・シバー&グレイソン・チバウを倒しており、ネイト越え切符にトップグループ入閣を目指したいところだ。

スタイル的にはテイクダウン+パウンドと、爆発力を持った打撃を得意とするギラードに対し、一見打たれ弱いイメージ、そして倒されやすい印象を持たれているネイトだが、劣勢になってからの精神的な粘りは、誰もが一目置いている。

対照的な長所を持つネイトとギラードの一戦は、ギラードの迫力で一気に会場がヒートし、ネイトの盛り返しでファンを熱くさせる――そんな一戦となりそうだ。

また、メインに勝るとも劣らない注目の一番は、同じくライト級のマッチアップでセミに組まれたグレイ・メイナード×ロジャー・フエルタ戦といえるだろう。TUFシーズン5の準決勝でネイトにギロチンで敗れ、非公式戦では敗北を喫しているメイナードだが、UFCオフィシャルマッチでは6戦5勝1NC、それ以外のプロモーションでの結果を踏まえると8戦7勝1NC。つまりMMA戦績7戦7勝という無敗記録を続けている。

BJ・ペンのトレーナーを務めたこともあるミシガン州立大レスリング部出身のメイナードは、その優れたフィジカルとレスリング力が秀でたテイクダウン&パウンダーだった。下にならない、要所で確実にテイクダウンを奪うことができるレスリング能力がそのベースだが、エクストリーム・クートゥアーの打撃コーチ=ショーン・トンプキンスの指導の下で身につけた右クロスも大きな武器となっている。

シバー、フランキー・エドガー、リッチ・クレメンティ、そしてジム・ミラーという名立たるUFCライト級ファイターを下してきたメイナードは、単なる打撃ができるレスラーではなく、バランスキープ力に優れたMMAファイターといえる。

メイナードが思い切り相手を抱え上げて、テイクダウンを奪うと起こる大歓声を、いつ何時も受けてきたのが、対戦相手のフエルタだ。MMAデビュー6年で20勝2敗という戦績を積み重ね、そのアグレッシブなスタイルでUFCファンの心を掴んでいる。

そのフエルタは、昨年8月にケニー・フロリアンに判定負けを喫したものの、ムービー進出も果たし、ファイターとして“これから”という時に、1年以上のブランクを経験してしまった。別に怪我をしていたわけでない。ファイトマネーや待遇に関して、ズッファ上層部批判を繰り返したため、干されていたというのが、そのブランクを作った要因とされる。