先日、米国疾病管理予防センター(CDC)などが、“テレビゲームを好む人(ゲーマー)”の特徴をまとめた調査結果が、世界各国のメディアによって報道された。米国の“ゲーマー”の特徴は「平均年齢35歳」「肥満傾向」「性格は落ち込みやすい傾向」で、身体的、精神的な健康問題を抱えている――というものだった。その話題から1週間あまり、指摘を受けた形となった米国内の“ゲーマー”からは、「劣った固定観念を植え付けたいのか」との声が相次ぎ上がるなど、調査結果に納得できない人が多いようだ。

米ニュースサイトMSNBCは、インディアナ州に住む37歳の男性の発言を紹介している。男性は「35歳くらいではあるが、太ってないし無職でもない。正しく科学を理解する、社交的な人間だ」と反発。ゲームとの付き合いは「6歳の時、Atari 2600(家庭用テレビゲーム機)を買って以来」と長く、現在は歯科矯正医として働き、週に4時間から8時間、ゲームを楽しんでいるそうだ。

また、米ニュースサイトNewsvineにはたくさんの反論コメントが寄せられており、やはりゲームで定期的に遊ぶという男性は「自分は太ってないし、落ち込みやすくない」とした上で、「すべてのゲーマーが、その固定観念に当てはまる訳ではないのは疑う余地がない」と意見を述べている。この男性は、結婚をして2人の子どもを持ち、2つの仕事を成功させているそうで、「多くの人が、同じような成功をしているのを知っている」「我々みんなが、座りっぱなしの負け犬ではない」と、調査結果の見方に反発した。

ほかにもある女性は、「太って落ち込みやすい30代の人をいっぱい知ってるが、彼らはテレビゲームをしない」とコメント。この女性は肥満や落ち込む傾向を“ゲーマー”と結び付けるのは強引で、因果関係をちゃんと示していないと持論を展開。「ゲーマーになるのが、デブで怠惰でバカになるのを意味しない」と強い言葉で反発し、「(ゲーマーを)恥ずかしがらせようと、劣った固定観念を植え付けたいのか」と研究結果に納得がいかない様子だ。

一方で、「太って落ち込みやすい」という、この研究結果に当てはまると自ら認める33歳の男性は、「ゲームをしている時、決められた自分の生活の一部のように感じ、それがゲームをする大きな理由になっている」とコメントしている。調査への反発の声は大きいが、この男性のように、調査結果に思い当たる節がある人が少なからずいることもまた、事実なのだろう。

そもそもこの調査を専門家はどのように分析していたのか。簡単に振り返っておこう。調査は米国のエモリー大学、アンドリュース大学が共同で、米ワシントン州のシアトルとタコマ地域に暮らす、19歳から90歳の男女552人を対象に行ったもの。ゲームを「する人」と「しない人」に分け、個々の個性や肉体、精神面の健康具合、肥満度指数を比較した結果、ゲームを「する人」は、「しない人」に比べて総じて健康状態が良くない傾向となり、男性の場合は肥満度指数が高く、女性の場合は性格が落ち込みやすいという傾向が現れた。

この結果を受け、CDCのジェームズ・ウェーバー博士は、「成人のテレビゲーマーも低い外向性が報告され、これは『座りっぱなしの生活で太り気味』とされる、若者のゲーマーの傾向を指摘した研究にも一致する」(MSNBCより)と説明。また、ピッツバーグ大学医学部のブライアン・プリマック博士は「テレビゲームの効果的な側面は利用しつつ、ゲーマーが仮想現実にのめりこまないようほどほどに遊び、社会に参加させることが必要」(同)との意見を寄せていた。こうした見方に対して、“ゲーマー”の一部が「全員がそうではない」と反発している……というわけだ。

研究結果はあくまでも“ゲーマー”の傾向や、ゲームをしない人との比較であり、当然のことながら「全員に当てはまる」と主張しているわけではない。しかし、権威ある機関や大学が発表した内容だけに、指摘された“ゲーマー”側は、そうした見方が一般化することに反発している状況と言えそうだ。