渋谷淳の渾身のローブロー

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 愛すべきトレーナーが日本を離れ、故郷に帰ることになった。金昌龍。横浜光ジムで前日本スーパーライト級チャンピオンの木村登勇らを育てた韓国人トレーナーだ。金トレーナーは韓国の南西部、先ごろ死去した元大統領、金大中の故郷として知られる光州市で生まれた。高校卒業と同時にボクシングを志してソウルに上京。最初の一年は、練習の終わったリングを雑巾で拭き、キャンバスの上に布団を敷いて寝たという。



 韓国ライト級王者まで上り詰めるも、その後はチャンスに恵まれず、94年に活躍の場を日本に移した。日本では2戦しただけで現役を引退。そのままトレーナー業に転身し「自分の気持ちを選手に伝えたい」という一心で、まったくできなかった日本語をマスターしてしまった。

 金トレーナーを初めて見たのは、確か5年ほど前、木村が日本タイトルを取る前あたりだったと思う。コーナーから大きな声で選手にアドバイスを送る姿は「さすがコリアン」と思わせる情熱を感じさせた。



 先日、お別れ会がてら、川崎で焼肉を食べながら聞いた話が興味深かった。計量のときは必ず相手選手の顔と足を見る。その選手が打たれ強いか、弱いか、だいたい分かってしまうのだという。

 試合中は、まず自分の選手ではなく、相手のセコンドがどのような指示を出しているかチェックする。セコンドの指示が的を外れていれば「勝てる」。ちなみに対角線上で、最も手ごわいと感じたセコンドはドリームジムの三浦利美会長。なるほど、という感じだ。

 「最後にちょっと旅してから帰ります。まだ富士山に登ったことがないんですよ。でも大丈夫。また試合になれば、セコンドをやりに来ることもあると思いますから」日本での15年は仕事とボクシングに明け暮れる毎日だった。まずはしばし休養である。



※『渾身のローブロー』は今回をもって終了となります。ご愛読ありがとうございました。

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