極めだけでなく、そこに行きつくまでのプロセスに注目したいデミアン・マイア

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いよいよ、開催が今週末29日(土・現地時間)に迫ってきたUFC102『COUTURE vs NOGUEIRA』。クートゥアーの地元といっても過言でないポートランドでの大会では、メインに負けない注目のカードがある。それがMMAの母たるブラジリアン柔術の技術を、今に伝えるデミアン・マイアと、トータルファイトとしてのMMAに取り組んできたネイト・マーコートによるミドル級の一番だ。

極めだけでなく、下から相手をひっくり返し、トップを取る技術をオクタゴンのなかで如何なく発揮するマイア。殴って、倒して、極めるファイトが信条のマーコートと対戦する一番は、総合格闘技と柔術に一方ならぬ思い入れを持つファンが多い日本のほうが、米国のUFCマニアよりもずっと気になるファイトといえる。

UFC参戦以来、5試合連続一本勝ちを誇るマイア。それ以前のキャリアでも相手の負傷によるTKO勝ちが1試合と、判定勝ちが1試合、10勝のうち8試合で一本勝ちを収めている。

現代のヒクソンと称されるほど、柔術のテクニックで勝利を重ねているマイアだが、その柔術技術を駆使できるのも、打撃戦を恐れない気持ちの強さと、トレーニングに裏付けされた自信があるからだ。実際にはマイアは打撃の交換をするのでなく、相手が打撃を繰り出す隙をついて組み技に持ち込む。

あるいはジャッジの裁定では、マイナス要因にしかならない引き込みも、瞬時にしてロックアップからリバーサルを仕掛け、殴られずにポジションを奪いとることで活用している。

その際、パウンドを受けない位置に頭を持っていき、さらには相手にバランスを取らせないよう、自らの足の使い、対戦相手の足を制する抑えは見事の一言だ。

抑え込みだけが、相手を抑えつける技術ではない。マイアの試合からは、そんなブラジリアン柔術の真髄を知ることができる。

「マーコートは、これまでのキャリアで最強の相手。とてもアグレッシブで強い」と語るマイア。そのアグレッシブさをついて、彼の柔術が威力を発揮するか。

マーコートは「デミアンの寝技を怖がることはない。恐れずにテイクダウンする」と言うが、勝利への最善策は付き合わないこと。極めというフィニッシュに至るまでに、マイアが魅せる繊細な動きに対して、彼の取るべき手段は、瞬発力を生かしたエスケープ。

マイアの繊細さにテクニックで対応していては、勝ち目はない。近づかれたら離れる、離れたら近づきすぎない距離で打撃を振るう。引き込まれる瞬間に、バックステップをとり、ジャッジを見方につける。そんな戦い方も名将グレッグ・ジャクソンなら講じることができるだろう。

ポイントで不利になった時に、マイアがどのような動きにでるか。それこそ、無理やり打撃戦を挑もうものなら、マーコートの鋭いヒザの餌食となる可能性も高くなるはず。

総合能力を生かすための頭脳戦、マーコートには本来持つアグレッシブさを後半に発揮できるような戦術を期待したい。柔術×総合格闘技、MMAの二大看板の対戦の試合展開は幾万と存在する。

■UFC102対戦予定カード

<ヘビー級/5分3R>
ランディ・クートゥアー(米国)
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
キース・ジャーディン(米国)
チアゴ・シウバ(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
クリス・レーベン(米国)
ジェイク・ロショルト(米国)

<ミドル級/5分3R>
ネイト・マーコート(米国)
デミアン・マイア(ブラジル)

<ライトヘビー級/5分3R>
クリストフ・ソジンスキー(カナダ)
ブランドン・ベラ(米国)

<ミドル級/5分3R>
エド・ハーマン(米国)
アーロン・シンプソン(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ガブリエル・ゴンザガ(ブラジル)
クリス・トゥクシャー(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャスティン・マッコーリー(米国)
マイク・ルソウ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ティム・ヘイグ(カナダ)
トッド・ダフィー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ニック・カトーネ(米国)
マーク・ムニョス(米国)

<ライト級/5分3R>
マーカス・アウレリオ(ブラジル)
エヴァン・ダナム(米国)