【浦和論究】浮かび上がる問題を解消せよ
ナビスコカップ予選ラスト3戦では、日本代表が不在の中、良好な内容で結果を収めた。しかし、約1カ月の中断期間を終えて再開したリーグ第??節横浜FM戦では、代表選手が復帰しながら、今季ワーストとも言える内容で敗戦を喫した。個々の選手が備えるパーソナリティーをチーム戦術に還元できない現状をどう変えていくべきか。
浦和がナビスコカップで、挑戦的なスタイルを貫けた要因
気になることがある。ナビスコカップ予選リーグのラスト3戦であれほど流麗なコンビネーション・サッカーを披露した浦和は、なぜリーグ戦再開後は低調な内容に終始しているのか。成績だけで判断すれば前述のナビスコカップ予選リーグ第4節の新潟戦からこの原稿の締め切り直前に終了したリーグ第16節山形戦まで、浦和は5勝1敗と、十分な結果を残している。しかしナビスコカップとリーグでは、その内容に格段の差がある。この点に大きな危惧(きぐ)を覚えるのだ。
カップ戦とリーグ戦では置かれた環境が違い、対戦相手のモチベーション、陣容が異なることは十分承知している。それを踏まえた上で、やはり浦和のチームパフォーマンスには短期間で変化があり過ぎた。
極論すれば、フォルカー・フィンケ監督が志向し、実践したいサッカーはナビスコカップの戦いぶりにあるはずである。それはチーム全体をコンパクトに保ち、かつできるだけ相手ゴールに近い位置でゲームを展開する形である。
浦和がナビスコカップで、そのような挑戦的なスタイルを貫けた要因ははっきりしている。それはセンターバックを務めた坪井慶介と山田暢久のラインコントロールが秀逸だったからだ。
坪井と山田暢はいずれもフィジカル能力に優れる選手で、特に坪井はスピード、山田暢はパワーというストロングポイントを有している。その個性がセンターポジションで組んだために化学反応が成され、抜群の守備組織が形成された。これはフィンケ監督の慧け いがん眼ぶりが発揮された事例だ。そもそも、二人が組む羽目になったのはセンターバックのレギュラーである田中マルクス闘莉王と阿部勇樹が日本代表に招集された揚げ句に、セカンドチョイスの堀之内聖が負傷離脱してしまったことに起因している。つまりチームの台所事情は火の車だったわけで、指揮官にしてみれば窮余(きゆうよ)の策だった。その証拠に、フィンケ監督は当初練習で坪井と細貝萌を組ませてテストを施し、ナビスコカップ新潟戦の直前に山田暢を抜てきしている。
それでも、指揮官の決断は吉と出た。しかもツボ−ヤマが強烈にバックラインを押し上げてチーム全体を活性化させ、コンビネーション・サッカーを促進したのは意外な驚きだった。
坪井は山田暢との連係について、こう述べている。
「思ったより、ヤマさんと僕って合っているでしょ。驚いた? イメージとしてはヤマさんが相手にファーストコンタクトして、僕が後ろをケアする形かな。その関係性がうまく機能していたと思う」
まず坪井についてだが、彼は相手攻撃陣との〝追いかけっこ〟を好むDFで、その競争に絶大なる自信を持っている。その対人能力を駆使した防衛力は日本でも屈指なのは周知の事実だ。
一方、山田暢も坪井との関係に手応えを感じていた。
「僕は躊ちゆうちよ躇なく相手に当たっていた。だって僕が相手にやられても、しっかりツボがカバーしてくれたから。ラインが高いって? それは、あまり意識しなかったなあ。でも、なるべく味方に近づこうという意識はありましたよ」
今季の浦和のチームコンセプトの一つに、局面における数的優位を生むという事項がある。ボールサイドに寄り、人数をかけて攻略する。それには味方との距離を縮める必要があるわけで、DFも当然直近の味方に近づかなければならない。坪井と山田暢は忠実にそれを実践し、それがバックラインの押し上げという現象に結びついた。
バックラインが押し上がることで、浦和はチーム全体のコンパクトネスを徹底できた。そして各人の距離が狭まったことで、必然的にパス成功率も高まった。今季の浦和はショートパスが頻繁でロングやミドルのパスが少ないと揶やゆ揄されるが、それは正しい評価ではない。できるだけコンパクトなサッカーを実践することがパスの距離を短くさせているだけのことで、ミドルやロングを抑制しているわけではない。もっと突き詰めれば、ミスの可能性が高まる長距離弾道よりも、成功率の高い短距離弾道を選択する方が、より確実性が増すという志向である。実際、フィンケ監督がよく理想に掲げるスペイン代表のサッカースタイルは、そのような確実性を第一義に考える傾向がある。
ナビスコカップ新潟戦、そして磐田戦、大宮戦と、浦和は尻上がりにコンパクトネス、およびハイラインコントロールを実践した。また、かねてからの懸念材料だった相手カウンターの防御についても、相手ボールホルダーへの複数人による積極的なプレスでボールの出所を抑え、カウンター発動の前に敵陣でターンオーバーするというアグレッシブな守備を貫徹した。また、もし出所を抑えられずにカウンターを浴びても坪井と山田暢を中心としたディフェンスラインが高い対人能力でそれを封殺する共通理解が、しっかりとチーム内に浸透していったのである。
浦和がナビスコカップで、挑戦的なスタイルを貫けた要因
気になることがある。ナビスコカップ予選リーグのラスト3戦であれほど流麗なコンビネーション・サッカーを披露した浦和は、なぜリーグ戦再開後は低調な内容に終始しているのか。成績だけで判断すれば前述のナビスコカップ予選リーグ第4節の新潟戦からこの原稿の締め切り直前に終了したリーグ第16節山形戦まで、浦和は5勝1敗と、十分な結果を残している。しかしナビスコカップとリーグでは、その内容に格段の差がある。この点に大きな危惧(きぐ)を覚えるのだ。
カップ戦とリーグ戦では置かれた環境が違い、対戦相手のモチベーション、陣容が異なることは十分承知している。それを踏まえた上で、やはり浦和のチームパフォーマンスには短期間で変化があり過ぎた。
極論すれば、フォルカー・フィンケ監督が志向し、実践したいサッカーはナビスコカップの戦いぶりにあるはずである。それはチーム全体をコンパクトに保ち、かつできるだけ相手ゴールに近い位置でゲームを展開する形である。
浦和がナビスコカップで、そのような挑戦的なスタイルを貫けた要因ははっきりしている。それはセンターバックを務めた坪井慶介と山田暢久のラインコントロールが秀逸だったからだ。
坪井と山田暢はいずれもフィジカル能力に優れる選手で、特に坪井はスピード、山田暢はパワーというストロングポイントを有している。その個性がセンターポジションで組んだために化学反応が成され、抜群の守備組織が形成された。これはフィンケ監督の慧け いがん眼ぶりが発揮された事例だ。そもそも、二人が組む羽目になったのはセンターバックのレギュラーである田中マルクス闘莉王と阿部勇樹が日本代表に招集された揚げ句に、セカンドチョイスの堀之内聖が負傷離脱してしまったことに起因している。つまりチームの台所事情は火の車だったわけで、指揮官にしてみれば窮余(きゆうよ)の策だった。その証拠に、フィンケ監督は当初練習で坪井と細貝萌を組ませてテストを施し、ナビスコカップ新潟戦の直前に山田暢を抜てきしている。
それでも、指揮官の決断は吉と出た。しかもツボ−ヤマが強烈にバックラインを押し上げてチーム全体を活性化させ、コンビネーション・サッカーを促進したのは意外な驚きだった。
坪井は山田暢との連係について、こう述べている。
「思ったより、ヤマさんと僕って合っているでしょ。驚いた? イメージとしてはヤマさんが相手にファーストコンタクトして、僕が後ろをケアする形かな。その関係性がうまく機能していたと思う」
まず坪井についてだが、彼は相手攻撃陣との〝追いかけっこ〟を好むDFで、その競争に絶大なる自信を持っている。その対人能力を駆使した防衛力は日本でも屈指なのは周知の事実だ。
一方、山田暢も坪井との関係に手応えを感じていた。
「僕は躊ちゆうちよ躇なく相手に当たっていた。だって僕が相手にやられても、しっかりツボがカバーしてくれたから。ラインが高いって? それは、あまり意識しなかったなあ。でも、なるべく味方に近づこうという意識はありましたよ」
今季の浦和のチームコンセプトの一つに、局面における数的優位を生むという事項がある。ボールサイドに寄り、人数をかけて攻略する。それには味方との距離を縮める必要があるわけで、DFも当然直近の味方に近づかなければならない。坪井と山田暢は忠実にそれを実践し、それがバックラインの押し上げという現象に結びついた。
バックラインが押し上がることで、浦和はチーム全体のコンパクトネスを徹底できた。そして各人の距離が狭まったことで、必然的にパス成功率も高まった。今季の浦和はショートパスが頻繁でロングやミドルのパスが少ないと揶やゆ揄されるが、それは正しい評価ではない。できるだけコンパクトなサッカーを実践することがパスの距離を短くさせているだけのことで、ミドルやロングを抑制しているわけではない。もっと突き詰めれば、ミスの可能性が高まる長距離弾道よりも、成功率の高い短距離弾道を選択する方が、より確実性が増すという志向である。実際、フィンケ監督がよく理想に掲げるスペイン代表のサッカースタイルは、そのような確実性を第一義に考える傾向がある。
ナビスコカップ新潟戦、そして磐田戦、大宮戦と、浦和は尻上がりにコンパクトネス、およびハイラインコントロールを実践した。また、かねてからの懸念材料だった相手カウンターの防御についても、相手ボールホルダーへの複数人による積極的なプレスでボールの出所を抑え、カウンター発動の前に敵陣でターンオーバーするというアグレッシブな守備を貫徹した。また、もし出所を抑えられずにカウンターを浴びても坪井と山田暢を中心としたディフェンスラインが高い対人能力でそれを封殺する共通理解が、しっかりとチーム内に浸透していったのである。
|









