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【福永泰のスロー解析】原口元気の"パス"

【福永泰のスロー解析】原口元気の

インタビュー・文●編集部
写真●兼子愼一郎、新井賢一

カメラマンが撮影した膨大な試合写真のストックの中から、現在のレッズを象徴する印象的な連続写真を選び出し、元浦和レッズの福永泰氏がそのプレーを徹底的に解説。試合中に起こったほんの一瞬の出来事を連続写真であらためて見てみると、想像もしなかったさまざまな事象が浮かび上がってくる。今月の写真からはいったい何が明らかになるのだろうか?


常にゴールを意識した体の向きとトラップ

――今回は山田直輝選手と共にその活躍が期待される10代選手の一人、原口選手についてお聞きしたいと思います。まずは特長から教えていただけますか?

「最大の特長は常にゴールを意識してプレーしていることですね。常に次のプレーを意識した位置にボールを置いているし、意識がいつもゴールに向かっている。そういう持ち方をすれば複数の選択肢を持てるし、体が常にゴールを向くようになるんですね」

――そういった持ち方を意識することでどんな利点が生まれますか?

「まず最初にゴールを目指すという前提があれば、そこから消去法で選択肢を消していけるんです。単独突破が無理なら周囲を使えばいいし、それがダメなら横に預ける。その選択肢もなければ、最後にバックパスを選んでもう一度つくり直す。バックパスという選択肢が最後にあることで、相手に脅威を与えることができます」

――原口選手の場合、他の選手よりも、次のプレーに移行しやすい位置にボールを置くのがうまいのでしょうか。

「そうですね。特にライン際でのボールの受け方、ボールを置く位置については素晴らしいと思います。できるだけ全体を見渡せる姿勢を取りながら、まずは一歩前に踏み込む。〝とりあえずキープする?という状況が限りなく少ないので、やはりDFにとっては気が抜けない選手だと思います」

――原口選手は小学生時代からかなり有名でした。福永さんが初めてご覧になったのはいつですか?

「昨年の高円宮杯全日本ユースですね。あの大会ではやはりドリブルがメインで、高校生レベルではなかなか止められないようなスピードとテクニックを持っているなという印象を受けました。今と比べると、まだプレーエリアが狭かったし、ドリブルにやや固執している部分がありましたね」

――今シーズン、トップチームでプレーするようになってから、その印象は変わりましたか?

「そうですね。自分が生きる場面とそうでない場面をうまく判断できるようになったと思います。トップで出場するようになってからは、突破かパスか、またはタメをつくるためにキープを選択するかという局面で、複数の選択肢を残しながらプレーするようになった。チームがショートパス主体のコンビネーション・サッカーを展開している中で、そういったチーム戦術をベースに、自分の特長をどうやって表現すべきかを考えながらプレーしている気がします」

――チーム戦術に合わせるための戸惑いはあったのでしょうか?

「仕方ない部分も大きいと思いますが、開幕直後はチームコンセプトにとらわれ過ぎていたところもあったかもしれませんね。本来の特長や個性が少し薄れていたと思います。ただ、今はチーム戦術と個性をうまくすり合わせながら、組織の中で個性を出していこうと彼自身の中でうまく調整していると思いますよ。そういった意味では、順調に成長していると言えるでしょうね。ただ、非常に難しい問題ですので、これからもずっと課題として付きまとうことだと思います」

――まだ18歳ですが、全く物おじしない性格も特徴の一つですね。

「そうですね。18歳であることを忘れてしまうくらい堂々とプレーしていると思います。過去に高卒ルーキーとしてデビューした選手もたくさんいますが、あれほど物おじせず、どっしりと構えてプレーしている選手は少なかったと思いますよ。本当に頼もしいですね」

――戦術と個性のすり合わせという点のほかに、課題としてどんなことが挙げられますか?

「ディフェンス面の課題をよく指摘されていますが、決して守備時に手を抜いているとは思いません。むしろ、攻撃面でもう少しプレーエリアを広げることができれば、ゴールに直結したプレーが増えると思います。主に左サイドのライン際で受けることが多いのですが、〝得意なエリア?を〝居心地のいいエリア?にするのではなく、周囲との連係からもう少し流動的に動けるといいですね。この大宮戦では71分に見事なゴールを決めましたが、ああいったポジショニングが増えれば、自然と決定的なプレーが増えていくと思います」


福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、青山学院大体育会サッカー部コーチ、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)。
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