成海璃子(撮影:野原誠治)
 2000年ドラマ「TRICK」(テレビ朝日)で仲間由紀恵演じる主人公・山田奈緒子の少女時代役を演じ演技デビューを果たした女優・成海璃子。ドラマ「瑠璃の島」(日本テレビ)で弱冠14歳にして初主演を務めると、その後は数々のドラマ・映画・CMに出演。「神童」の萩生田宏治監督や、「罪とか罰とか」のケラリーノ・サンドロヴィッチ監督など、新進気鋭の演出陣に愛される演技力と、透明感のあるヴィジュアルで唯一無二の存在感を放っている。今回成海は、竹中直人監督によるホラー・コメディ「山形スクリーム」で主人公の美香代を演じた。「ここまで普通の役を演じるのは初めて」と話す成海の演技感、竹中監督とのエピソード等を聞いた。

――今回、竹中直人さんの監督作品ということでユニークな設定が多かったと思います。最初に脚本を読んだ時の感想はいかがですか?

成海璃子(以下、成海):最初脚本を読んだ時はコメディだと思わなかったんですよね。私、今まで出演してきた役が“若き天才”とかそういうイメージの物が多くて、このまま飽きられていくのは嫌だと思ったんですね。今回の役は、家庭に悩みのある女子高生で、ここまで普通の役を演じることは初めてで、楽しかったです。

――実際にお仕事をしてみて、竹中さんの印象はいかがですか?

成海:大先輩なので私が言うのは失礼かもしれませんが、すごく気を遣う人です。「僕も役者やってるから、やりづらい事があったら何でも言ってね」って現場でも声かけてくれたり。自由にやらせていただきました。

――自由な現場ならではの撮影の空気感、例えばアドリブのような物はあったんですか?

成海:私、アドリブが苦手なので絶対にやらないんです。今回は、周りで起こっている事を見ている受身の役なので、特に派手な動きはありませんでした。他の方もアドリブってほとんど無かったと思いますね。例えば、マイコさんが白目をむくシーンとかも、監督が実際に白目をむいて見せて、指導していました。

――撮影を振り返って、一番苦労したシーンはありますか?

成海:私にとって映画に出るということは、1人の人間になりきることなので、あまり大変って思わないんですよね。今回はホラー要素もある映画ですが、逃げ方とか、怖がり方も監督が1つ1つ丁寧に教えてくれて、「このタイミング、ここで木に手をついて」とか。なので、私は美香代というキャラクターを徹底して演じました。

――現場で共演者の方々と、どのようなやりとりをしましたか?

成海:普段は皆でワイワイするのってちょっと苦手だけど、山形の撮影は合宿みたいにそこで生活していたので楽しかったです。オフの時間に演技の話をするってことは無くて、温水さん、生瀬さん、AKIRAさんと普通の世間話をしてました。あとは、監督と仲良くなりたくてずっと隣にくっついていた気がします。音楽の話や映画の話を教えてもらったり。