『iPhone』試作品紛失で、台湾メーカーの従業員が自殺

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Brian X. Chen


Photo: MacRonin47/Flickr

米Apple社の従業員が、機密情報を漏らしたために解雇されたという話は山ほどある。しかし、同社と提携する各社が、製品の秘密を守るためにどれほどの圧力を受けているかには想像を絶するものがある。中国メディアの報道によると、台湾でApple社の『iPhone』を製造しているFoxconn社で働く25歳の従業員が、第4世代iPhoneの試作品をなくした後に自殺したという。

ND Daily』(南方都市報)の記事(Googleによる英語への翻訳)によると、Foxconn社で働いていたSun Dan yong氏は、16種類のiPhone試作品の出荷を処理していたが、そのうちの1つが紛失したという。そこでFoxconn社のセキュリティ部門はSun氏を厳しく取り調べた。「耐え難い尋問手段」をこらえきれず、Sun氏は7月16日(現地時間)に、12階建てのビルから飛び降りたという。

Foxconn社は、事件について謝罪する声明(Googleによる英語への翻訳)を発表している。声明では、同社のセキュリティ部門の責任者を務めるGu氏が、殴打やSun氏自宅の捜索、Sun氏を1人きりで監禁するなど、「不適切な尋問手段」を使った可能性があることを認めている。Foxconn社によると、Gu氏は停職処分を受けており、現在社内で調査中だという。

『CNET』の記事によると、Apple社はSun氏の自殺を認めているという。

Apple社は「われわれは、この若い従業員を失った痛ましい出来事を悲しんでいる。彼の死に関する調査の結果を待っているところだ」と述べている。「供給業者各社には、すべての従業員に尊厳と敬意を持って接することを要請する」

Apple社は、米中央情報局(CIA)に匹敵する機密レベルで事業を行なっていることで有名だ(日本語版記事)。しかし、同社の製造ラインが拡大され、提携会社が増えるにつれて、その機密の保持はますます難しくなりつつある。Foxconn社が、Apple社の秘密を守るためになぜ従業員にこれほどの圧力をかけたのかは明らかだ。貴重な提携先を失いたくないからだ。

Shanghaiistの記事を参考にした。

WIRED NEWS 原文(English)

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