“腐女子”という言葉が浸透するにつれ、徐々に拡大してきた乙女ゲーム市場。6月25日には頭角を現しつつあるブランド「オトメイト」から「ふしぎ遊戯DS」が発売された。これは2005年に発売された「ふしぎ遊戯 玄武開伝 外伝 鏡の巫女」と2008年の「ふしぎ遊戯 朱雀異聞」のカップリング移植であり、原作は1992年から連載が続いているファンタジー漫画「ふしぎ遊戯」シリーズである。ここでは「夕城美朱(ゆうきみあか)」を主人公とした、いわゆる“朱雀編”を紹介する。

 美朱は平凡な中学3年生。周囲のプレッシャーに耐えながら名門校をめざして受験勉強に明け暮れる日々を送っていた。そんな中、親友「本郷唯」と図書館で見つけた「四神天地書」。それを手に取った美朱は、唯とともに異世界へ飛ばされてしまう。ほどなくして2人は現実世界へ戻ることができたが、その後、美朱は四神天地書に2人が異世界で体験したことが追記されていることに気づく。異世界=本の中の世界という事実に気づくやいなや、美朱は再び本の中に吸い込まれてしまった。

 2度目の異世界で美朱を待ち受けていたのは、皇帝「星宿(ほとほり)」。星宿いわく、美朱は国を救う“朱雀の巫女”だという。本に記されていた『読み終ゑた者は主人公と同様の力を得、望みがかなふ』の一文を思い出し、美朱は高校合格をもくろんで巫女となることを引き受けた。当面の目標は巫女を守る 「朱雀七星士」を全員見つけ出すこと。初めて異世界に来た時に自分を助けてくれ、 朱雀七星士の一人でもある鬼宿(たまほめ)らとともに、美朱の長い旅が始まる。

 平凡な主人公の異世界での冒険譚、少女漫画とは思えないほどの王道ファンタジーである。しかしもちろん、少女漫画らしいテイストが満載だ。

 美朱と行動を共にする朱雀七星士は当然のごとく全員イケメンである。そしてこれまた当然のごとく、そのうちの多くがみあかに思いを寄せる。特に若く美しき皇帝、星宿の愛は強く深く美朱にそそがれているが、美朱は彼の愛を受け入れない。なぜって? 星宿はメインヒーローではないからだ。

 美朱が愛しているのはメインヒーロー・鬼宿のみ。鬼宿も美朱を愛しているが、2人の前にはさまざまな障害が立ちはだかる。危険な目に遭わせたくないと自ら姿を消してみたり、策略により敵に体を汚されたと信じ込んで気まずくなったり、異世界の住人ゆえ結ばれないさだめならいっそと冷たくしてみたり、美朱も鬼宿も大忙しである。そしてそのつど互いを愛していることを思い知り、さらに強い絆で結ばれていくのだ。結末はもちろんハッピーエンドに決まっているが、そこまでのくっついたり離れたりが存分に楽しめる、ザ・少女漫画である。

 余談ではあるが、ふしぎ遊戯の作者である渡瀬悠宇氏はテレビドラマが話題となった「絶対彼氏。」の作者でもある。甘酸っぱい恋愛ものは十八番というわけだ。

 作品の中心に据えられているのは愛であるが、ファンタジーとしてもなかなかのもの。特にクライマックス直前の市街地戦は一見の価値ありだ。終盤は失速した感が否めないが、連載終了から10年以上の時を経て新作ゲームが発売されるだけのことはある作品である。現在は世界観を同じくする「ふしぎ遊戯 玄武開伝」が連載中。これからも多くの女子を魅了し続けていくことであろう。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)

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