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浦和レッズ代表・橋本光夫「すべてはレッズのために 」

浦和レッズ代表・橋本光夫「すべてはレッズのために 」

インタビュー・文●編集部
写真●足立雅史

橋本新代表は4月24日に行われた就任記者会見で、「今回の役員交代は、当クラブの経営を新しい視点で、原点に立ち返って見直し、将来のさらなる発展に向けた基盤づくりに取り組む改革につなげることが目的」と言及した。ファン・サポーター、パートナー、ホームタウンのための改革はすでに始まっているのか?就任から約1カ月。橋本新代表が考えるプランの全貌に迫る。


「周囲の方々に助けられて初めて仕事を行えるのです」

――まず、浦和レッズの社長に就任されてから1カ月ほどが経過したわけですが、現在のご心境は?

「就任から約1カ月が経過し、その間にゴールデンウイークもありまして、今はまだ表敬訪問ということで、パートナー企業の皆さんや、県や市の方々へのごあいさつ、あとはゲームを視察するくらいですね。レディースも含めて、かなりのゲームを見させてもらっていますが、なにか、あいさつとゲームだけで1カ月が経過してしまったような感覚です。これまでは試合を見るのは休暇中の楽しみとして行うもので、仕事としての感覚がありませんでした。だから、曜日の感覚がなくなってしまって(笑)。ただ、今は本当に楽しいですよ。新しいジャンルに向かう挑戦者といいますか。そんなに格好の良いものではないですけどね(笑)」

――橋本社長のこれまでの履歴をお聞かせ願えればと思うのですが。

「わたしは新潟工業高校を卒業してすぐに三菱重工京都へ就職しました。その後、三菱重工京都はすぐに三菱自動車工業(以下、三菱自動車)に変わりました。18歳で就職して今、60歳ですから、41年間、三菱自動車で働いてきたことになります。そして41年間のうち、36年間は開発部門の業務に携わっていました。その中で、ほとんどの期間でエンジン関係に携わり、その設計を22年ほど行いました。例えば初代のパジェロに積んだディーゼルエンジンなどはわたしの担当でした。そして32年間京都に暮らした後に愛知県の岡崎で8年を過ごしました。その岡崎での2004年から2008年の4年間は、三菱自動車のリコール問題の社内調査や品質調査などを行い、関係各位におわびをし、社内における新しい仕組みを構築する責任者として従事しました。そして去年の1年間は東京の田町本社で働き、本社の営業部門におりました」

――これまでのお仕事を経て、ご自身の中で身に付いたものはあったのでしょうか。

「よく『エンジンの設計などは専門職で、難しいものなのではないですか』と言われるのですが、実は設計者だからといって何でも分かっているわけではないのです。自動車というのは設計者だけでなく、各パーツの部品を開発、製造する方々など、多くの人の技術力によって支えられています。三菱の設計者はその技術をアレンジして統合する役目で、周囲の方々に助けられて初めて仕事を行えるのです。わたしはその思いでエンジンの設計に携わってきましたし、その後の社内調査や品質調査などの業務でもその思いを変えることはありませんでした。今回、浦和レッズの社長に就任した際にスタッフを集めて言ったことも、『まずは周囲の方々に感謝しなさい』という言葉でした。『皆さんに支えられて助けられなかったら、誰も今の仕事を遂行することはできない』と。それはどんなジャンル、職種でも変わらない、わたしの理念です」

――日本の中で、サッカークラブはあいまいなものととらえられがちです。営利を追い求めるのか、理念を追求するのか。その点について橋本社長はどのようなお考えをお持ちですか。

「浦和レッズの活動の中で、まずトップチームがあり、それからユース、ジュニアユースがあります。ここまでのグループと、地域密着を念頭に置いたレディース、レッズランド、ハートフルクラブなどの活動は別のものとしてとらえています。そして、どの面においてもクラブにとっては重要な事項なのです。ですから今はクラブの中でも、このような活動をどうすみ分けしているのかという点に注視しています。例えば強化部門の中にトップチームとレディースが混在している点は改善課題です。むしろトップチームとレディースは別の部門でしっかりと強化、活動すべきであると考えます」

――求める方向性をしっかりと整備した方が、物事をスムーズに進めやすいというお考えでしょうか。

「そうです。サッカーを通じてホームタウンの皆さんと地域を活性化させていく。そのためにトップチームがどのようなパフォーマンスをして結果を残すのかは重要な事項です。それに際してトップを支えるユースやジュニアユースが密接に連携し合うことは大事です。例えば今季もユースの選手がトップに昇格している事実がありますから、これらは一元的に管理することも検討する必要があると思います」

――また、今の浦和レッズは選手のセカンドキャリアについてもケアがなされているように思います。

「わたしは雇用がつながっていくことは良いことだと思っています。ただ、その中身については精査しなくてはならない。適材適所、その人物が適切だから次の仕事につながっていくという見極めは必要です。『レッズスタイル』の究極の形は何かと問われれば、わたしは人格の形成にあると答えます。それは選手、スタッフなどの人物が、周囲の方々にどう評価されるかということです。それが浦和レッズの目指す道だと認識しています。それを踏まえた上でセカンドキャリアの問題についても取り組み、長くサッカーと携われる環境、仕組みを整えていきたいと思います」

――それがクラブの魅力や信用につながっていくというお考えですね。

「そうです。そのためにはホームタウンの方々との連携が必要です。そしてクラブは、ホームタウンの方々に助けられているという実感も得ることができるでしょう」
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