【浦和論究】浮かび上がる両翼の問題点
サイドで起用する選手に対するフィンケ監督の隠された哲学
第13節を終えて、リーグ戦は約1カ月の中断期間に入った。シーズン前は「我慢の年」との声も聞こえてきた今季のレッズ。ピッチで繰り広げられるサッカーは、ここ数シーズンとは異質なものだ。指揮官が目指す〝コンビネーション・サッカー〞は、攻守両面で人数をかけ、連動してプレーするスタイル。また、慣例であった移籍による補強も行わず、若手を積極的にピッチへ送り込んでいる。新たな試みに挑戦しながらも、第13節終了時点で勝ち点25を挙げた。リーグ再開へ向け、前半戦ここまでの戦いを今一度見つめ直していく。
Jリーグ第13節を終えた時点で、浦和レッズは7勝4分2敗、勝ち点25で2位につけている。
今季の浦和は活発な戦力補強が行われず、逆に永井雄一郎や相馬崇人などの主力が抜け、むしろ戦力はダウンした印象がある。その中で、クラブはゲルト・エンゲルスを解任してフォルカー・フィンケを新指揮官に迎え、チーム構築を再び一からスタートさせた。この状況を踏まえれば上記の結果は予想外でもある。しかし結果以上に驚きだったのは、その試合内容の劇的な変化だ。フィンケ監督がフィロソフィーに掲げる鷆コンビネーション・サッカー鷆の萌ほ うが芽はピッチ上のそこかしこで見られ、しかもそのプレーは限られた選手ではなくチーム全体に波及している。この現象については指揮官自身も想像以上の進ちょく度であることを認めている。
監督の意図を選手がしっかりとくみ、実践する。これはチームにポジティブな空気が流れていることを証明する一端と言えよう。
リーグ戦で喫した2敗は共にカウンターによる失点が絡んでいた
鷆コンビネーション・サッカー鷆の意図については今号のフィンケ監督インタビューで本人が詳細に述べている。その中で、最も注目したいのはやはり局面における数的優位な状況を生み出す手法である。
なぜ数的優位性を維持したいのか。これも監督インタビューでしっかり語られているのでここでは割愛するが、要は個人が組織をつかさどるのではなく組織が個人を生かす道を目指すということ。ひいてはそれが選手の育成、チーム強化につながり、結果を残すことができる。これが指揮官の理念である。
攻撃面における連係度は成熟の度合いを増している。特に攻撃を担う前線の4人は流動的にポジションを変えて相手を幻惑し、局面における優位性を保つ。しかし、このフレキシブルなポジション移動が攻撃面で有効なのに対し、守備面では破たんを来している。
浦和は今季のリーグ戦で鹿島と川崎に敗戦を喫しているが、その要因にはカウンターによる失点が絡んでいた。また引き分けに終わった第3節磐田戦や第13節大宮戦でも速攻から被弾している。また勝利はしたものの、第4節大分戦や第9節新潟戦では何度も相手の堅守速攻に陥落しかかった。敵陣で人数をかけて攻め込む浦和のスタイルに対して、対戦相手は十分な研究を重ねて攻略しようとしているのだ。
前述のように、現在の浦和は前線4人のポジションが猫の目のように変わる。そして、中でも重要なタスクを求められるのがFWだ。エジミウソンと高原直泰はフィニッシャーの役割だけでなくファーストディフェンスやサイドに開いてクロッサーもこなす。これは非常に甚大な負担だが、それでもエジミウソンなどは素晴らしい献身性と身体能力でそれに応え、結果を残している。一方、高原はそのタスクに苦しめられている一人で、本来仕事をしたい相手ゴール前を離れて自陣近くでボールタッチする機会が多く、その特性を生かし切れていない印象がある。
そしてMF。現在の浦和は1トップの場合4−2−3−1、2トップの場合は4−4−2の布陣を敷くが、共通しているのは必ず中盤にワイドなアタッキングMFを配置する点だ。現在それを任されているのは原口元気、山田直輝、エスクデロ・セルヒオ、高橋峻希、林勇介らの若手選手である。
このうち、山田直だけは他の選手とは違う動きを見せる。彼は決められたポジションに定位せず、ピッチを縦横無尽に駆けて味方をフォローする。そのスキル、タイミングは絶妙で、フィンケ監督が要求する複数人での局面打開を彼がオーガナイズしている。正直彼だけは今の攻撃陣の中で別次元の働きをしていると評価したい。今回、フィンケ監督にインタビューするに際して、山田直に対する評価については絶対に聞いておきたかった。そして指揮官は、その要求に応え、山田直のことを存分に語ってくれている。
第13節を終えて、リーグ戦は約1カ月の中断期間に入った。シーズン前は「我慢の年」との声も聞こえてきた今季のレッズ。ピッチで繰り広げられるサッカーは、ここ数シーズンとは異質なものだ。指揮官が目指す〝コンビネーション・サッカー〞は、攻守両面で人数をかけ、連動してプレーするスタイル。また、慣例であった移籍による補強も行わず、若手を積極的にピッチへ送り込んでいる。新たな試みに挑戦しながらも、第13節終了時点で勝ち点25を挙げた。リーグ再開へ向け、前半戦ここまでの戦いを今一度見つめ直していく。
Jリーグ第13節を終えた時点で、浦和レッズは7勝4分2敗、勝ち点25で2位につけている。
今季の浦和は活発な戦力補強が行われず、逆に永井雄一郎や相馬崇人などの主力が抜け、むしろ戦力はダウンした印象がある。その中で、クラブはゲルト・エンゲルスを解任してフォルカー・フィンケを新指揮官に迎え、チーム構築を再び一からスタートさせた。この状況を踏まえれば上記の結果は予想外でもある。しかし結果以上に驚きだったのは、その試合内容の劇的な変化だ。フィンケ監督がフィロソフィーに掲げる鷆コンビネーション・サッカー鷆の萌ほ うが芽はピッチ上のそこかしこで見られ、しかもそのプレーは限られた選手ではなくチーム全体に波及している。この現象については指揮官自身も想像以上の進ちょく度であることを認めている。
監督の意図を選手がしっかりとくみ、実践する。これはチームにポジティブな空気が流れていることを証明する一端と言えよう。
リーグ戦で喫した2敗は共にカウンターによる失点が絡んでいた
鷆コンビネーション・サッカー鷆の意図については今号のフィンケ監督インタビューで本人が詳細に述べている。その中で、最も注目したいのはやはり局面における数的優位な状況を生み出す手法である。
なぜ数的優位性を維持したいのか。これも監督インタビューでしっかり語られているのでここでは割愛するが、要は個人が組織をつかさどるのではなく組織が個人を生かす道を目指すということ。ひいてはそれが選手の育成、チーム強化につながり、結果を残すことができる。これが指揮官の理念である。
攻撃面における連係度は成熟の度合いを増している。特に攻撃を担う前線の4人は流動的にポジションを変えて相手を幻惑し、局面における優位性を保つ。しかし、このフレキシブルなポジション移動が攻撃面で有効なのに対し、守備面では破たんを来している。
浦和は今季のリーグ戦で鹿島と川崎に敗戦を喫しているが、その要因にはカウンターによる失点が絡んでいた。また引き分けに終わった第3節磐田戦や第13節大宮戦でも速攻から被弾している。また勝利はしたものの、第4節大分戦や第9節新潟戦では何度も相手の堅守速攻に陥落しかかった。敵陣で人数をかけて攻め込む浦和のスタイルに対して、対戦相手は十分な研究を重ねて攻略しようとしているのだ。
前述のように、現在の浦和は前線4人のポジションが猫の目のように変わる。そして、中でも重要なタスクを求められるのがFWだ。エジミウソンと高原直泰はフィニッシャーの役割だけでなくファーストディフェンスやサイドに開いてクロッサーもこなす。これは非常に甚大な負担だが、それでもエジミウソンなどは素晴らしい献身性と身体能力でそれに応え、結果を残している。一方、高原はそのタスクに苦しめられている一人で、本来仕事をしたい相手ゴール前を離れて自陣近くでボールタッチする機会が多く、その特性を生かし切れていない印象がある。
そしてMF。現在の浦和は1トップの場合4−2−3−1、2トップの場合は4−4−2の布陣を敷くが、共通しているのは必ず中盤にワイドなアタッキングMFを配置する点だ。現在それを任されているのは原口元気、山田直輝、エスクデロ・セルヒオ、高橋峻希、林勇介らの若手選手である。
このうち、山田直だけは他の選手とは違う動きを見せる。彼は決められたポジションに定位せず、ピッチを縦横無尽に駆けて味方をフォローする。そのスキル、タイミングは絶妙で、フィンケ監督が要求する複数人での局面打開を彼がオーガナイズしている。正直彼だけは今の攻撃陣の中で別次元の働きをしていると評価したい。今回、フィンケ監督にインタビューするに際して、山田直に対する評価については絶対に聞いておきたかった。そして指揮官は、その要求に応え、山田直のことを存分に語ってくれている。
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