中に入っている金額の大小にかかわらず、財布を落としたときのショックは大きいが、時が経てば忘れていくもの。米国のある男性も、高校時代に革の財布を落とし、探しても見つからなかったために、いつしか財布を落としたことすら忘れていったという。ところが今年6月18日、なんと63年ぶりに男性の手元へと財布が戻ってきた。信じられない出来事に、男性も驚いているようだ。

アリゾナ州ベーカーシティに住む78歳のビル・フルトンさんのもとに届けられた財布は、地元中学校の改築工事中に作業員が見つけた。中に入っていた社会保障カードと自転車許可証からフルトンさんのものだと判明したが、あまりに古い財布のため、職員の話し合いでは警察に届ける提案も出たそうだ。

しかし、同校の学校秘書メラニー・トリンドルさんは「まだ生きてるかもしれない」と思い、手がかりを探し始めた。フルトンさんの住所を突き止めたトリンドルさんは、たまたまその近所に住んでいた知人に確認をとり、翌日にはフルトンさんの自宅へ財布を届けている。フルトンさんが軍に入隊して韓国やドイツで5年間を過ごした以外は、地元を離れなかったことも幸いしたようだ

この中学校は1936年開校で、フルトンさんは卒業生だが、財布をなくしたのは1946年の高校時代。通っていた高校のバスケットボール部の試合がこの中学校の体育館で行われ、応援に駆け付けたフルトンさんは、座っていたバルコニー席で財布を落としてしまった。財布がなくなったことに気づいたフルトンさんはすぐに探したが、結局見つけられなかったという。

財布が見つかったのは、まさしく体育館のバルコニー席。同じ場所で63年間も発見されなかったことついて、同中学校のミンディ・ボーガン校長は「茶色いバルコニー席はレンガの壁につながっていて、(財布が見えづらく)誰にも発見されなかったのだろう」(地元紙ベーカーシティ・ヘラルドより)と話している。

カウボーイ風の財布は、63年の時を経ているにもかかわらず革が滑らかなままで、ファスナーの動きも良く完璧な状態だったという。定年後は犬と山へ散歩に出かけるなど穏やかな日々を過ごしていたフルトンさんが、高校時代に愛用していた財布との再会で、「いままでの時間はどこに行ったんだろう」「こんなに速く時が流れていたなんて信じられない」(同紙より)と、これまでの人生を振り返り、思いを馳せている。63年ぶりに出会った財布とともに、フルトンさんはそれ以上に大きなものを得たようだ。