木村カエラ(撮影:野原誠治)
 4月下旬より新曲「Butterfly」が結婚情報誌「ゼクシィ」新CMソングとして大量オンエアされ、クレジット表記が無いために「CM曲を歌っているのは誰?」と問い合わせが殺到した木村カエラ。2004年6月に発売したシングル「Level 42」でのデビューから5周年を迎え、7月1日には横浜赤レンガパーク野外特設ステージにてオールスタンディングで2万人を動員する「木村カエラ 5th Anniversary Live ルシード エルpresents『GO!5!KAELANDO』」を開催する彼女が、6月24日に通算5枚目となるニューアルバム「HOCUS POCUS」を発売した。

――前作「+1」に続き、今回の「HOCUS POCUS」も作曲陣が個性的な面々で楽しめましたが、曲選びはどのようにして決めていくんですか?

木村カエラ(以降、木村):まず「どんな人と一緒にやるか?」という所から始まっていくんですけど、その方達と一緒にやりたいという所から、曲を作ってもらって。そこから「もうちょっとこんな風がいいな」と、こちらからお願いすることもあれば、例えば前回のアルバムには使わなかったんですけど「あの人の曲で、こういう曲があったよね」とか、アルバムとのバランスを見て選んでいくこともありますし。最初からこういう曲が歌いたいから、こういう人にお願いしたい、という風に頼む時もありますし、色んなことがあります。

――今回「こういう風なアルバムにしたい」というイメージはあったんですか?

木村:今回のアルバムは、あまりコンセプトを決めずに作っていきましたね。

――前回の「+1」はロックというか、特にギターの音とかがすごく“カッコイイ”アルバムという印象でしたが、今回の「HOCUS POCUS」は“可愛らしい”部分とか、視野が開けた外の世界のことを歌っていたりと、統一感やあるテーマのもとに集められた曲達ではないと感じましたね。とは言え、コンセプトというほど明確なものではなくても、前作を踏まえて「次はこういうアルバムを作りたい」と漠然とでもイメージされていたことはありますか?

木村:「+1」を出した時に、それなりに自分が何十曲か曲を書いてきたり、「こういう音楽性のものがやりたい」というものが結構、明確に表されたアルバムが「+1」のような気がしていて。でも、コアな方向というか、自分が求めるカッコ良さを追求し過ぎると、音楽って共感したり理解し合ったり、私のいる場所はそういう所に意味があるような気がしていて。「コアなものに行く理由は、それほど無いのかな?」と感じた部分がちょっとありまして。次のアルバムを出す時は、人に伝わりやすい言葉だったり、分かりやすい曲だったりを重視して、色んな知識とかをプラスするというよりはマイナスできて、さっぱりできるようなアルバムを作れればいいなと思っていました。

――1曲目からお話伺えればと思いますが、なぜ「Dear Jazzmaster ‘84」というタイトルになったのかな?と思ったんですけど。

木村:大体こういうのは勢いもありますけど(笑)。バンドメンバーみんなで詞を書いていたんですけど、まず歌詞の中にしっくり来るバランスのいい言葉が無かったのと、「ロックの神様といえば誰?そういう人をタイトルとか歌詞の中に入れるのは面白い!」という話になったんですよ。バンドメンバーはみんな私よりも年上なので、ジミヘンとか伝説的な人達の名が色々挙がってたんです(笑)。私は分かるんですけど「20代とか、今の10代の子にそれが伝わるのか?」と言ったら、そうじゃないだろうなという。「時代として繰り返し聴かれている音楽の人で、若い人も聴いてるようなものって何だろう?カエラは高校生の時とか10代の時に何を聴いてた?」と言われた時に、「ニルヴァーナとかかなぁー」という話をしていたんですよ。そしたら「じゃあ、ギターのJazzmasterじゃね?」みたいになって、そのまんまですよ(笑)。

――意外とシンプルな理由だったんですね。

木村:結構、そんなもんですねー。それでスペルが合っているか?とか、「Jazz」と「master」の間に半角が空くのか?とかを調べていたら、日本人の「JAZZ MATER」というバンドがあって(笑)。この人達を崇拝していると思われたら歌詞の意味が違ってきちゃうから、「私の生まれ年の84年を付けよう」と言って。歌詞の中では、主人公はカート・コバーンが大好きな男の子という設定になっていますね。

――今までJazzmasterを弾いているようなイメージが無かったので、なんでだろうな?と思ってました。たしか、ストラトキャスターとか使われてましたよね?

木村:そうですね(笑)。