MFカカをレアル・マドリーに放出したミランは、MFエメルソン、FWアンドリー・シェフチェンコ、MFデイビッド・ベッカム、DFフィリップ・センデロスなどとの契約も終了させて人件費の軽減に成功した。カカが抜けたいま、現在の最高年俸はFWロナウジーニョの800万ユーロ(約10.6億円)だ。

カカの放出により2000万ユーロ(約26.7億円)もの人件費を削減し、一方で獲得するアリ・シッソコに要する年俸はわずか200万ユーロ(約2.6億円)。かけがえのない戦力だったカカを失ったダメージは大きいが、しかしカカを犠牲したことで、莫大な金額の節約ができるようになる。新たな道を進むミランとすれば、カカ放出についての議論は一切不要だ。クラブは莫大な人件費のカットし、クラブ運営費のコストダウンを念頭において行動しているからだ。先日、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長が「収支のバランス」を最優先事項とする考えを明らかにしている。

ミランの目標はカカを売却しただけでは達成しない。これから毎シーズン、選手の獲得と放出に関して金額と相談することになる。とりわけ重要なミッションとなるのが、選手の年俸に上限額を設けることだ。その額は、クラブが許容できる範囲内に収めることになる。2008−2009シーズンのミランがクラブ全体で費やした金額は、諸経費を引く以前の額で1億7200万ユーロ(約230億円)。ミランは選手を放出して約30パーセントを人件費の削減に成功した。今後、ミランは長く険しい道を進むことになる。しかし、うわべだけの装飾を豪華にする行為に大きなリスクが伴うことを、クラブは理解している。

カカを放出したことにより、現在のミランの高給取りはFWロナウジーニョになった。彼は手取りで800万ユーロ(約10.6億円)の収入がある。これに続くのは、650万ユーロ(約8.6億円)のMFアンドレア・ピルロ、500万ユーロ(約6.6億円)のMFクラレンス・セードルフ。彼らの条件もこれから再検討されるかもしれない。

その一方で、税込み1000万ユーロ(約13億円)の報酬を得ていたFWアンドリー・シェフチェンコ、700万ユーロ(約9.3億円)のMFエメルソン、600万ユーロ(約8億円)のMFデイビッド・ベッカム、500万ユーロ(約6.6億円)のDFフィリップ・センデロスとの契約を解除。そして400万ユーロ(約5.3億円)を稼いでいたDFパオロ・マルディーニは今シーズン限りで引退した。これらに、カカに費やしていた総額2000万ユーロ(約26.7億円)にも上る人件費を加えると、5200万ユーロ(約69.2億円)の人件費をカットしたことになる。

しかしミランを取り巻く状況は厳しいと言わざるを得ない。今後、選手を獲得する場合、提示する年俸を一貫性あるものにしなければいけないからだ。例えば、ヴォルフスブルクのFWエディン・ジェコの場合、ミランは500万ユーロ(約6.6億円)を約束している。ミランは2000万〜2500万ユーロ(約26.6億円〜33.2億円)もの投資を、新戦力に当てることはできないため、手ごろなジェコに白羽の矢を立てたとも言えるだろう。

ミランは年俸の最高額を手取り800万ユーロ(約10.6億円)にし、選手全体の年俸の平均を400万ユーロ(約5.3億円)にするつもりだ。例えば、GKジダの年俸は800万ユーロ(約10.6億円)であり、これは現状を考えるとあまりにも過剰な額だ。ジダは来シーズン終了後に契約が切れるため、その後の処遇は容易に想像できるだろう。