マイホーム未完成の施主約500人という被害を出し、4月に破産した注文住宅メーカー・アーバンエステート(埼玉県川口市)。被害拡大に一役買ったのは、メーカーが倒産しても家が建つという完成保証契約でした。しかし、そこには「過払い免責」という大きな落とし穴がありました。(豊田栄光)

汚い手口で勧誘・受注

 完成保証はアーバンと保証会社シールドエイジェンシー(東京都墨田区)との契約。アーバンが倒産したら、シールドがあっせんする工務店が工事を引き継ぎ、倒産時の建築の進行状況(出来高)に応じて、限度額の範囲内でシールドが工事費を補てんします。着工前なら200万円、上棟(柱など骨組みが完成した段階)までなら400万円などとなっています。

 施主が1円の負担もなく、完成家屋を手にできるわけではありません。被害者の多くはこのことに気づいていませんでした。それどころかアーバンは「完成保証をつけるので倒産しても家は建つ」などと、汚い手口で勧誘、注文を取っていたのです。

 さらに、被害者の怒りを増幅させたのは、「過払い免責」という条項です。注文住宅の場合、契約時に10%、着工時に30%、上棟時に30%、完成時に30%といった出来高に応じて、工事代金を支払うのが商習慣とされています。被害者Aさんは未着工段階で総工費の50%、1150万円を入金、シールドは「過払い」を理由に支払いを拒否しました。

 シールドは「過払い免責は、メーカーと施主が結託した偽装倒産による保証金詐取を防ぐためだ」(広報担当者)と、その正当性を主張しています。

保証会社の責任も問う

 7日の被害弁護団の集会に参加した施主は約170世帯。そのうち40世帯以上が出来高とは無関係に、1000万円以上を支払っていました。そのため、いずれも保証金は不払いとされ、シールドへの批判が相次ぎました。

 シールドがアーバンと完成保証の契約を開始したのは昨年12月。アーバンは「大々的にテレビコマーシャルをうち、販売拡大をめざしている。信用度を高めたいので完成保証をつけたい」と依頼してきました。しかし、破たんの兆候を察知したシールドは、3月にはアーバンとの新規契約を停止しました。

 それまでの契約件数は約190。シールド広報担当者は「うちも被害拡大の片棒を担いだとの思いはある。うちが仲介する工務店に継続工事代金の割引を要請したい」と話しています。

 被害弁護団は「仮にシールドがアーバンに利用されていたとしても、被害拡大の防止措置はとれたかもしれない。保証会社の役割についても議論したい」と語っています。

 注文住宅被害を防止するには、出来高払いを徹底する必要があります。