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【福永泰のスロー解析】三都主アレサンドロの“フィード”

【福永泰のスロー解析】三都主アレサンドロの“フィード”

インタビュー・文●編集部
写真●足立雅史、新井賢一

カメラマンが撮影した膨大な試合写真のストックの中から、現在のレッズを象徴する印象的な連続写真を選び出し、元浦和レッズの福永泰氏がそのプレーを徹底的に解説。試合中に起こったほんの一瞬の出来事を連続写真であらためて見てみると、想像もしなかったさまざまな事象が浮かび上がってくる。今月の写真からはいったい何が明らかになるのだろうか?

ゴールに直結する突破えぐるような動きが見たい

――今回は故障から復帰した三都主選手についてお聞きしたいと思います。公式戦は昨年の柏戦以来、実に9カ月ぶりの出場となりました。

「去年は故障を繰り返して厳しい1年を強いられましたから、まずはピッチ上で元気な姿を見ることができて、僕自身も非常にうれしく思いました。今後は常にピッチ上に立ってくれることを願うばかりですね」

――左サイドバックでの出場となりましたが、戦線を離脱する以前と比べて動きはどうでしたか?

「久々の出場にもかかわらず、うまくゲームの流れの中に入っていたと思います。大分戦では守備の負担が少なく、動きやすかったのではないでしょうか。ただ、サイドバックが適任かどうかという点には疑問が残ります。ザルツブルクでは左サイドバックを務めていましたから、当然、その経験がレッズでも生かされると思います。でも、本来は攻撃的な選手ですし、守備面の負担が少ないポジションの方が、彼の持ち味が発揮できると思いますね」

――写真は復帰戦となったリーグ第4節大分戦で、後方からロングフィードを放った場面です。

「ボールの持ち方が良いですね。そのまま次のプレーに素早く移ることができるし、縦や中にもパスが出せる。何より広い視野を確保して状況をしっかりと把握することが大事で、彼はまず、ルックアップした状態で展開をしっかり考えています。中でパスを待つ選手としては、ボールを配給する選手が状況を確認し、アイコンタクトをかわすことで『自分のイメージと合わせてくれる』と感じますよね。一つの動きでパスの出し手と受け手の間に信頼関係を築くことができるんです。三都主は左利きなので左サイドから正確なクロスも出せるし、攻撃の起点としても全体的に良い流れをつくっていると思います」

――この試合でも、三都主選手は精度の高いクロスを送っていました。

「やはり利き足が左なので、ニアとファーのどちらにでも鋭く力強いボールが蹴れますよね。これが右利きだとスピードが出ないので、どうしてもピンポイントで狙うことができません。そうなると山なりのパスしか選択肢がない。その分、左利きだと軸足に体重が乗り、前傾体勢を取れるので質の良いクロスを上げることができると思います」

――三都主選手には精度の高いFKもありますし、今後はそういったシーンでも楽しみですね。

「そうですね。ただ、過度の期待は避けるべきだと思います。昨年の夏場にポンテが復帰しましたが、チームが低迷していたこともあって彼に大きな期待が寄せられました。ところが、復帰直後のポンテは本調子からはほど遠く、持ち味を出すことができなかった。期待だけが膨らみ続けた結果、それがプレッシャーとなって彼に寄りかかってしまいました」

――確かに、昨シーズンは復帰直後のポンテ選手に周囲から大きな期待が寄せられていました。

「アレックスについては復帰戦の状態が良かっただけに、より大きな期待がかかってしまうと思います。ただ、大きな故障の後にコンディションを安定させることは決して簡単ではありません。期待感を少し抑えながら見てあげることも必要だと感じます」

――途中出場という起用方法でも、三都主選手の特長が十分に発揮されると思うのですが。

「もちろん、それも一つの手だと思いますよ。今は力が拮抗したチームとの対戦ばかりではないので、アレックスが本来の調子を取り戻しているのかどうかは上位チームとの対戦で初めて測れるのかもしれません。これは、相手チームのシステムとも関連しています。レッズの4−4−2に対して、同じシステムを採用しているチームと対戦すれば、いかに相手より運動量、攻撃、守備が勝っているのか見て取れますよね。相手と力が対等であるからこそ、真の実力が見えてくるのだと思います」

――今後、三都主選手にはどういったプレーを期待しますか?

「ゴールに直結する突破、えぐるような動きが見たいですね。個人技は彼特有の独特なリズムがあるので、それを武器に果敢に勝負を仕掛けてほしいです」


福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、バルドラール浦安のスポーツディレクター、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)。
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