【世代】 昇進したくない人が増えているのはなぜ?

 最近、「あえて出世や昇進を望まない」と考える人が増えているという。出世を嫌う理由は何なのか、そして、企業側ではそれをどうとらえているのだろうか。

「組織」より「個人」が大事

 「出世を嫌う人には、自分の担当以外のことはしたくない、必要以上の責任を負いたくないという気持ちが強いようです」と語るのは、各種ビジネス研修を手がけている株式会社マネジメントサポートの古谷治子代表。「組織の中での役割よりも、自分という個人が大事だと考える人が増えているということなのだと思います」。

 そもそも、女性は結婚や出産で退職するケースが多いことから、出世よりも居心地のよさや仕事のやりがいという個人的な満足感を重んじる人が多かった。「でも男性の中には、会社という組織や日本経済という大きな視点を持った人も、以前はたくさんいたんです。それが、最近は自分や自分の家族という個人的なものを重視する男性が増えています。男性が女性化していると言えるのかもしれません」(同氏)。

企業の側に、風土を変えようという動きも

 一方で、日本古来の年功序列という概念を捨て、能力主義という欧米型のシステムを取り入れることで、個人単位でのとらえ方へと舵を切ったのは企業の方だ。そんな中、社員も組織より個人としての価値観を優先するようになったのは、ある意味当然のことのようにも思われる。

 終身雇用制度が崩壊した上、倒産やリストラも他人事ではないこの時代に、社内での出世に執着しなくなるのは無理もない。企業はコストダウンに必死で、仕事量や責任が大きくなっても給料にはほとんど反映されないケースもあり、まさに「出世する意味がわからない」という心境にもなるだろう。

 しかし、企業にとっては「組織よりも個人」という人間ばかりになってしまうのは、見過ごせない問題だ。「この事態に対処するため、組織の古い風土を変えようとか、一度取り入れた欧米式のやり方を見直そうとか、企業の側でも、今の時代にあったシステムに作り直そうとする動きが見られるようです」(同氏)。

 出世を目指すも目指さないも個人の自由だし、滅私奉公なんて考え方はナンセンスかもしれない。しかし、せっかく入った会社で順調に昇進することで得られるものも大きいはず。個人の出世意欲と企業の利益が、21世紀的な形でうまくリンクする道はないものだろうか。

株式会社マネジメントサポート:http://www.ma-support.co.jp/

文●永井祐子(エフスタイル)

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