百貨店で最近、セールやバーゲンが盛んだ。夏物のバーゲンというと、全フロアでメーカー品が安くなる「クリアランスセール」がその代表格で、各百貨店で足並みをそろえて7月に行う。それもあって、例年、6月はセールが少ない。ところが、2009年は様子が違っていて、続々とセールを行っている。コートやセーターといった冬物を扱っている店もあるのだ。

セール効果で客数は前年の110%

   松坂屋上野店は、「半年に一度の特別大提供」と銘打ったセールを2009年6月16日まで行っている。

   婦人靴は3150円〜7350円、カジュアルシューズは1050円、ハンドバッグは3150円、春夏もののワンピースは2100円、婦人ジャケットが3150円。

   高級パールの産地「あこや」のパールネックレスや、ダイヤモンドのネックレスもあり、各3万1500円だ。

   なんと、冬物のセール品もある。

   チベットラムのボレロが3万1500円(メーカー参考価格8万4000円)、レッキスラビットとシルバーフォックスのハーフコートが10万5000円(同31万5000円)、カシミヤセーターが3000円(同6300円)、カシミヤコートが2万1000円(同6万3000円)、有名ブランドのファー付コートが3万円(同15万7500円)。

   お客の事情でキャンセルになったり、プライベートブランド用に作ったが納品できなくなった、などの理由でメーカーの倉庫にあったもので、メーカー参考価格の3〜8割引になっている。

「初めて夏のセールで冬物を扱ったところ、大好評です。セール2日目で、婦人服は目標の2.5倍の売上げを達成しました。売上げのうち3割以上が冬物です」

というのは、松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングの広報担当者。

   セール効果で客数は前年同期間の110%と伸びている。

   液晶テレビや寝具、食品も扱う。

「お客さまの価格志向が強まっているので、例年より値段を下げています」

老舗百貨店、続々とセールに参入

   大丸は全フロアでお値打ち品が登場する「全館ザ・バーゲン」を心斎橋店、梅田店、神戸店で6月30日まで行っている(神戸は23日まで)。東京店は6月17日から行う。

   心斎橋店では、紳士用スーツが3万9900円、紳士カジュアルシューズが8400円、婦人用カットソーTシャツが1000円、レインブーツが2625円、と百貨店にしては安い品がずらりと並ぶ。

   さらに東京店は、「夏の婦人服ファッションバーゲン」も同時に開催する(6月30日まで)。

   老舗百貨店が、続々とセールに参入している。

   松屋銀座は、6月9日から15日まで婦人服Lサイズのバーゲン、6月24日から30日まで婦人靴有名ブランドセール、6月10日から16日まで紳士服イージーオーダーセール、6月24日から30日までハンドバッグ破格市を実施する。いずれも2〜3割引きで、なかには半額になるものもあるそうだ。

「セールの回数は例年通りですが、こういうご時世なのでお買い得商品を増やしています」(広報担当者)

   高島屋新宿も、6月16日まで紳士服イージーメイド2着セール、6月18日から22日まで夏のエキサイティングバーゲン、6月24日から29日まで婦人雑貨バーゲン、7月1日から7日まで夏の婦人服バーゲン、と目白押しだ。

   高島屋他店でも、夏の婦人服や雑貨、アクセサリーのセールを6月いっぱい行っている。

   一方、百貨店の関係者からはこんな声も上がっている。

「セール品を目玉にして集客するという百貨店も出てきていますが、安易に価格戦略にのっていくと、既存のお客が離れる可能性もあります。安い物にはそれなりの理由があって、品質が落ちるわけです。百貨店として、それでいいのでしょうか」

   舵取りを誤れば、百貨店自体のブランド価値を下げることになりかねない。

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