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【戸塚啓コラム】試練のときを迎えた大久保嘉人

2009年06月02日11時54分 / 提供:livedoor スポーツ

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【戸塚啓コラム】試練のときを迎えた大久保嘉人
前半、ゴール前に飛び込む大久保
(photo by Kiminori SAWADA)
  チリ、ベルギーとの2試合は、最終予選前の準備として十分なものだった。快勝で逆に気持ちが引き締まる部分もあるだろう。ゲームキャプテンの中澤が話す。

「無失点だからといってあまり気にせずに、後ろのメンバーはピリピリしないといけない。大丈夫だろうとか、甘さがあってはいけない」

  気になるのは大久保嘉人だろうか。
  
  ベルギー戦は80分過ぎまでプレーした。「クラブでの出場時間が短いので、少しでも長くやってゲーム勘を取り戻してほしい」という岡田監督の意図によるものだった。

  矢野の得点後に相手GKが蹴り出したボールが当たってしまい、思いがけず足を痛めてしまったが、試合後にはやや表情を歪めながらも「やるしかない」と話した。「身体は戻ってきている」とも語り、フィジカルコンディションは上向きであることをうかがわせた。

  久しぶりにスタメンで出場し、なおかつ残り10分ほどまでプレーしたことで、ドイツで募らせていた試合勘や体力への不安は消えていくだろう。足の状態に問題がなく、通常の練習メニューを消化できれば、彼自身が語るようにコンディションはあがっていくはずだ。

 メンタルはどうだろうか。

  獰猛な獣のようなアグレッシブさが、最近の大久保からは感じられない。「左サイドばかりに置くと、彼のワイルドなところが消えてしまうというか、丁寧なパスになってしまうことが多い」と岡田監督も話している。「だから今日は、最初はトップで使おうと思った」と説明した。

  フィジカルとメンタルは、切り離せるものではない。試合勘や体力への不安が一掃されることで、彼本来のアグレッシブさも取り戻されていくだろう。ただ、現状ではその可能性は低いと言わざるを得ない。小さくまとまってしまっている気がしてならないのだ。

  大久保と左サイドを争ってきた松井も、所属クラブでは出場機会に恵まれていない。ウズベキスタン出発直前の6月1日には、チリ戦で左サイドを任された山田直輝の一時離脱が明らかになった。

  その一方で、4−2−1−3や4−4−2といったフォーメーションに左右されることなく、自らの個性を発揮する選手が増えてきた。岡崎や本田はその好例だ。左サイドでは香川も計算できる戦力となっている。所属クラブで3トップの右サイドを務める矢野貴章は、ベルギー戦でゴールという結果を残した。〈左サイドは大久保か、松井か〉という選択肢は、過去のものとなりつつある。

「日本人のなかで、ゴール前で反転してシュートまで持っていく、ペナルティエリアのなかで相手をクッとかわしてシュートするとか、独特の感覚を持っている」

  試合後の記者会見で大久保について聞かれた岡田監督は、澱みない口調でその魅力を説明した。果たして大久保は、指揮官の期待に応えることができるか。最終予選突破を確定的にしているチームにあって、26歳のストライカーが試練を迎えている。

戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖
関連ワード:
大久保嘉人  ベルギー  ゲーム  チリ  ドイツ  

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