【サムライ通信】ミスを許してしまう会場全体の空気
2009年06月01日19時59分 / 提供:livedoor スポーツ
またも対戦相手はベストメンバーではなかった。主力6名が居ないベルギーは失点しても攻め立てる気配もない。これならいつも千葉で練習試合する大学生チームのほうが強いんじゃないかとすら思ってしまう。だから、4対0という結果でも驚かないし、逆に外れたシュートのことを思い出す。
もちろん、そんな相手だからこそ、型を確認するにはいい時間だっただろう。もちろん攻撃に対して。相手からのプレッシャーが少ない状態ではパスも良く繋がるし、裏へも抜け出しやすい。プレーを選択する余裕もあった。その結果、いくつもの得点パターンを見せることができた。オフェンス練習には最適な90分だった。
しかし、あまりにもミスが多い試合でもあった。日中の豪雨で芝がスリッピーになっていたこともあるだろうが、パスがわずかにずれるというシーンも多かった。ピッチコンディションが悪いときほど、基礎的な技術の差が出るのかもしれないと感じた。
岡田監督は、「『8割くらいの力でいいだろう』とというようなプレーが見られた」とハーフタイムに選手たちを一喝したという。そして「後半はアグレッシブなサッカーをやってくれた」と語った。
以前、中村俊はこう話してくれた。
「甘いプレーというのがある。緩いというか……。大きく蹴りだせるところを小さく蹴ってみたり。ミスには見えないかもしれないけれど、そこで相手にボールを取られたらピンチを招くこともある。だからこそ、より安全なプレーを選択するべきなのに。セルティックの観客はそういうプレーに対しても敏感に反応する。もし、そんなプレーをしたら大ブーイングを浴びることになる。まさに観客が選手を育てているんだよね。ブーイングをされたプレーを見ながら、子どもたちは『あのプレーは悪いプレーなんだ』と知ることもできる。ミスに対して厳しい環境だけれど、同時にいいプレーにはおしみない賞賛を送ってくれる。しかも目立ったプレーじゃなくて、『そこを見てくれていたのか』と関心するようなプレーだったりする。観客が試合の流れをよく知っている。チームが苦しい流れになったとき、大きな声援が届くんだ。海外でプレーする意義はたくさんあるけれど、そういう観客の前でプレーすることで得るものも大きい」
サッカーが文化として根づいている場所でプレーする喜び。それは中村俊だけでなく、欧州でのプレー経験を持つ全ての選手が口にすることだ。
そして日本ではどうだ。絶好のチャンスでのシュートミスなどに一瞬ブーイングが上がることもあるが、どちらかといえば「気持ちを切り替えて行こう!」というエールの歓声が多いように思う。というより、多くの時間ゴール裏のサポーターの声が響き渡るため、ブーイングだけでなく、賞賛の声すらピッチへ届かないのも事実かもしれない。特にピッチとスタンドとの距離がある陸上競技場での試合ならなおさらだ。
それだけが理由というわけではないが、日本の選手はミスへの危機感が乏しいと感じることがある。もちろん、起こそうと思ってミスをするわけでないだろうし、責められないミスももちろんあるだろう。しかし、ひとつのミスが取り返しのつかない失点へ繋がる。生じてしまったミスに対して「しょうがないか」「まあいいよ」という空気があれば、きっと再びミスが起きる。
それを許さない空気。厳しさを決戦前に取り戻さなくちゃいけない。チーム内のムードはいい。しかしそれで緩みになっていないのか?
ワールドカップ本番まで1年。その大会でベスト4入りを目指すチームが、限られたテストマッチの機会を使い、こんな相手とこんな試合をしていていいのだろうか?
ウェーブが起き(目が離せないはずのサッカーの試合でウェーブが起きるというのは退屈な試合だという証明)、楽観ムードの漂う国立競技場で冷めた気分になってしまった。
text by 寺野典子
もちろん、そんな相手だからこそ、型を確認するにはいい時間だっただろう。もちろん攻撃に対して。相手からのプレッシャーが少ない状態ではパスも良く繋がるし、裏へも抜け出しやすい。プレーを選択する余裕もあった。その結果、いくつもの得点パターンを見せることができた。オフェンス練習には最適な90分だった。
しかし、あまりにもミスが多い試合でもあった。日中の豪雨で芝がスリッピーになっていたこともあるだろうが、パスがわずかにずれるというシーンも多かった。ピッチコンディションが悪いときほど、基礎的な技術の差が出るのかもしれないと感じた。
岡田監督は、「『8割くらいの力でいいだろう』とというようなプレーが見られた」とハーフタイムに選手たちを一喝したという。そして「後半はアグレッシブなサッカーをやってくれた」と語った。
以前、中村俊はこう話してくれた。
「甘いプレーというのがある。緩いというか……。大きく蹴りだせるところを小さく蹴ってみたり。ミスには見えないかもしれないけれど、そこで相手にボールを取られたらピンチを招くこともある。だからこそ、より安全なプレーを選択するべきなのに。セルティックの観客はそういうプレーに対しても敏感に反応する。もし、そんなプレーをしたら大ブーイングを浴びることになる。まさに観客が選手を育てているんだよね。ブーイングをされたプレーを見ながら、子どもたちは『あのプレーは悪いプレーなんだ』と知ることもできる。ミスに対して厳しい環境だけれど、同時にいいプレーにはおしみない賞賛を送ってくれる。しかも目立ったプレーじゃなくて、『そこを見てくれていたのか』と関心するようなプレーだったりする。観客が試合の流れをよく知っている。チームが苦しい流れになったとき、大きな声援が届くんだ。海外でプレーする意義はたくさんあるけれど、そういう観客の前でプレーすることで得るものも大きい」
サッカーが文化として根づいている場所でプレーする喜び。それは中村俊だけでなく、欧州でのプレー経験を持つ全ての選手が口にすることだ。
そして日本ではどうだ。絶好のチャンスでのシュートミスなどに一瞬ブーイングが上がることもあるが、どちらかといえば「気持ちを切り替えて行こう!」というエールの歓声が多いように思う。というより、多くの時間ゴール裏のサポーターの声が響き渡るため、ブーイングだけでなく、賞賛の声すらピッチへ届かないのも事実かもしれない。特にピッチとスタンドとの距離がある陸上競技場での試合ならなおさらだ。
それだけが理由というわけではないが、日本の選手はミスへの危機感が乏しいと感じることがある。もちろん、起こそうと思ってミスをするわけでないだろうし、責められないミスももちろんあるだろう。しかし、ひとつのミスが取り返しのつかない失点へ繋がる。生じてしまったミスに対して「しょうがないか」「まあいいよ」という空気があれば、きっと再びミスが起きる。
それを許さない空気。厳しさを決戦前に取り戻さなくちゃいけない。チーム内のムードはいい。しかしそれで緩みになっていないのか?
ワールドカップ本番まで1年。その大会でベスト4入りを目指すチームが、限られたテストマッチの機会を使い、こんな相手とこんな試合をしていていいのだろうか?
ウェーブが起き(目が離せないはずのサッカーの試合でウェーブが起きるというのは退屈な試合だという証明)、楽観ムードの漂う国立競技場で冷めた気分になってしまった。
text by 寺野典子
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