過日、ビジョナリーの松尾順氏がコラム「ブルーオーシャン戦略の要諦」で、成功例として任天堂のWiiを挙げていた。一方、Wiiの成功が、果たしてマーケティングの力によるものなのかという議論がしばしばなされる。そこで、マーケティングでヒット商品は作れるのか?ということを考えてみたい。

マーケティングのキモは、顧客のニーズを抽出して、それを深掘りすることである。
一方、Wiiという製品のキモは「加速度センサー」を組み込んで体感ゲームに仕上げたこと。しかし、消費者は「加速度センサー」の存在を知らない。いくら掘ってもニーズとして出てこないことになる。ここに、どのような成功のヒミツが隠されているのか。
逆説的にいえば、消費者の顕在化したニースに対応するのは誰でもできる。また、潜在的なニーズを多少掘り起こすぐらいでは、まぁまぁヒットぐらいのレベルにしかならない。誰も知らない、誰も気がつかないような需要を創出したからこそ、Wiiは大ヒットしたともいえる。
しかし、それは結果論。後付の分析だ。ゼロベースで考えた時、どのような思考過程を経て作り上げられていったのだろうか。

任天堂のすばらしいことは、「立ち止まって俯瞰してみたこと」である。
1960年にセオドア・レビット教授がハーバード・ビジネスレビューで発表した論文にある「マーケティング近視眼」に陥らなかったことだ。米国の鉄道事業は自らを輸送産業と定義せずに、鉄道会社同士の競争にあけくれた結果、自動車産業や航空産業に破れ衰退した。そうした近視眼的な経営を「マーケティング・マイオピア(近視眼)」と呼んだのである。


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