ルイス・フィーゴが日本からのオファーを待っている。

というニュースが打電された。中国の新聞社のインタビューで語ったもので、第一線から退き、欧州の主要リーグ以外で第二のサッカー人生を、と宣言した彼の今後のプランを思うと、単なるリップサービスではないだろう。オファーを待っているというより、むしろ日本みたいなリーグでプレーしたいと、かなり前のめりになっているに違いない。

 

彼の知名度を考えると、もし日本に来れば、サッカー人気の起爆剤になることは容易に想像できる。一部のコアなファンの中だけで完結してしまっている観のある現在のJリーグにとって、それ以外の一般の人々を巻き込む絶好のチャンスとなる。

イケメンぶりばかりが強調され、サッカーの本質と離れたフィーバーにしかならなかったイルハン・マンシズのような悪しき例もあるが、フィーゴはサッカー的にも正真正銘の本物だ。ギャルだけでなく、将来性のある子どもたちの目も輝かせてくれる。スタジアムに来るのがおっさんばかりというデータがはじき出されてしまったJリーグに、今一番必要な要素だ。

   

というわけで、フィーゴの来日を前向きに考えてみよう。

実際にどれだけのお金がかかるのか正確にはわからないが、安くないことぐらい誰でも知っている。よって可能性のあるクラブは限られるが、仮にお金があったとしても、名より実を取るのが主流の昨今、本腰を入れて狙うクラブは出てこないかもしれない。

 

じゃあどうすればいいんだ。こんなチャンスを放っておく手はないのに。

そこで提案。Jリーグが獲得すればいいのだ。Jリーグがお金を出して、とりあえずフィーゴを囲ってしまうのだ。足らなければ協会から小遣いをもらってもいいし、あるいはリーグ関係者全員の定額給付金を集めて、なんてのも話題性があっていいぞ。

  

獲ったフィーゴをどのクラブに入れるか選ぶ方法は2つある。

まず1つ目は、各クラブのプレゼンテーション。フィーゴが欲しいクラブに挙手してもらい、1クラブ以上であれば競合スタートだ。

「私たちのクラブにフィーゴが来たら、ドリブラーばかりのチームを作ってリーグ戦を盛り上げちゃいます」「いや私たちのクラブなら、フィーゴの加入で22世紀型の新感覚フットボールを魅せられるでしょう」「いやいや私たちのクラブなら、フィーゴカップを開催して一儲けできます」など、各クラブが渾身の企画書を持ち寄り、公開プレゼンテーションに臨むのだ。

所属選手が壇上に立ったり、ゲストを連れてきたり、自治体の協力を取り付けたり、なんでもいい。とにかくフィーゴが欲しいという熱意を示す。そのプレゼンを受けて、チェアマンが決めてもいいし、サッカーファンの投票で決まってもいい。

 

2つ目はあみだくじ。これが一番公平だ。各クラブが一本ずつ線を入れていく。サポーター代表の線なんてのもあると、すごくコンセプチュアルだ。阿弥陀如来もびっくりの細かいハシゴが完成したら、いよいよ運命のスタート。

くじの結果が出るまで1週間くらい時間を設け、あなたの街にルイス・フィーゴが来るかもしれないキャンペーンを打ち、街をあげての大騒ぎを展開する。なんせ確率はフラットだ。誰にもわくわくする権利はある。お金のない地方クラブを応援する人々にとって、夢のような時間になるだろう。これをエンターテイメントと呼ばずして何と呼ぶのか。

 

バカげた提案かもしれないが、なくはない。いやむしろありだと、言い切ってしまおう。盛り上がる可能性はいくらでもある。盛り上げる方法はたくさんある。そしてそのきっかけとなりうる男が、遠く欧州で暇しているのだ。

Jリーグよ、こんなチャンスはないぞ。何かアクションを起こしてくれ。フィーゴは君を待っている。(了)

 

【Football Weekly編集部】