【福永泰のスロー解析】エジミウソンの"切り返し&シュート"
カメラマンが撮影した膨大な試合写真のストックの中から、現在のレッズを象徴する印象的な連続写真を選び出し、元浦和レッズの福永泰氏がそのプレーを徹底的に解説。試合中に起こったほんの一瞬の出来事を連続写真であらためて見てみると、想像もしなかったさまざまな事象が浮かび上がってくる。今月の写真からはいったい何が明らかになるのだろうか?
連動性と選択肢の増加でゴールに集中できる1年に
――今回はまず、フィンケ新体制に対する印象から教えてください。
「最も大きな変化として、攻守ともに選手同士の距離感が非常に良くなったと思います。特に去年は選手間の距離が遠過ぎて孤立する場面が目立ちました。攻撃では孤立するとプレーの選択肢が極端になくなるし、守備ではボールの奪いどころを絞れなくなってしまう。その結果、最終的には個人のアイデアだけに頼らざるを得ない状況が生まれていたと思います。そこは飛躍的に改善されたと言えるのではないでしょうか」
――具体的にはどういったプレーから距離感の改善を感じることができますか?
「第2節FC東京戦の後半、達也がスルーしたボールをエジミウソンが受けて、最後にポンテがシュートまで持っていったシーンがあったと思います。互いの距離感が近いからスルーという選択肢があるし、スルーをした達也とポンテがエジミウソンに絡む。そうすると、エジミウソンには二つのパスコースがある上に、自分で勝負するという選択肢も生まれます。こういった場面では相手より速く反応することで主導権を握れているので、ある局面を迎えたときに自分が何すればいいのかが分かっているし、まずは動きだすという積極性がある。攻守ともに、選手たちがイメージしやすい状況がある程度は出来上がっていると思いますね」
――逆に、リスクや不安など、マイナス要素は感じますか?
「まだ完成の域に達していないので、不安定さは否めません。つなごうという意識が強過ぎると、何か想定外のミスが起こったときに対応できなくなってしまう。鹿島との開幕戦では、そういったミスから失点を喫しました。攻撃面では組織を重視するあまり、組織から個に切り替えて仕掛けるタイミングを逃してしまう可能性がある。『そこは勝負!』っていう場面でつないでしまうと、相手に脅威を与えられなくなってしまいます。もちろん、パスをつなぐほどボールを失うリスクも高まるわけですから、その状況判断を意識しないと、ただ組織的なサッカーをするだけのチームになってしまう危険性はあると思います」
――さて、今回はエジミウソン選手についてお聞きしたいと思います。このシーンは最前線でボールを受けて、切り返してから左足でシュート、という場面でした。シュートは外れましたが、「らしさ」を感じるプレーだったと思います。
「相手に脅威を与えるプレーだったと思いますね。エジミウソン本来のゴールへの強い意欲を感じるプレーでした。今シーズンのエジミウソンは昨年よりも自分の役割が整理されていて、本来のスタイルを取り戻したように感じます」
――このプレーについても、先ほどお話いただいたような「選択肢」が影響しているのでしょうか。
「そうですね。もちろん影響していると思います。まず、パスを受けたエジミウソンにはセンターバックの茂庭が対応したのですが、平松もカバーに入ったことで達也がフリーになりました。パスコースを相手に意識させながら、この場合は突破を選択する。茂庭を切り返しでかわした時点でも突破とパスの選択肢を残しながらボールを運ぶことができるんです。パス、ドリブル、シュートと3つの選択肢を持ちながらプレーできたシーンだと思いますね」
――シュートは惜しくも外れてしまいました。
「切り返した時点で『左足でファーサイドを狙う』というイメージはできていたと思います。長友に体を当てられてバランスを崩していますが、こういった1対1の局面で、FWの選手がゴールまでのイメージを持ちながらプレーできる状況は、頭の中がしっかり整理されている証拠だと言えます」
――この動きを見ていると、今季はゴール量産が期待できそうな気がします。
「FWにとって、今年はすごくやりやすいシーズンになると思いますよ。ボールをいろんなところから引き出せるし、常に複数の選択肢を持ちながらプレーできる。昨年はイメージを共有できず、頭の中が整理されない状況でのプレーを強いられていましたから、より多くの人が連動している今シーズンのサッカーなら、ゴールという本来の仕事により集中できると思います」
福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、バルドラール浦安のスポーツディレクター、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)
連動性と選択肢の増加でゴールに集中できる1年に
――今回はまず、フィンケ新体制に対する印象から教えてください。
「最も大きな変化として、攻守ともに選手同士の距離感が非常に良くなったと思います。特に去年は選手間の距離が遠過ぎて孤立する場面が目立ちました。攻撃では孤立するとプレーの選択肢が極端になくなるし、守備ではボールの奪いどころを絞れなくなってしまう。その結果、最終的には個人のアイデアだけに頼らざるを得ない状況が生まれていたと思います。そこは飛躍的に改善されたと言えるのではないでしょうか」
――具体的にはどういったプレーから距離感の改善を感じることができますか?
「第2節FC東京戦の後半、達也がスルーしたボールをエジミウソンが受けて、最後にポンテがシュートまで持っていったシーンがあったと思います。互いの距離感が近いからスルーという選択肢があるし、スルーをした達也とポンテがエジミウソンに絡む。そうすると、エジミウソンには二つのパスコースがある上に、自分で勝負するという選択肢も生まれます。こういった場面では相手より速く反応することで主導権を握れているので、ある局面を迎えたときに自分が何すればいいのかが分かっているし、まずは動きだすという積極性がある。攻守ともに、選手たちがイメージしやすい状況がある程度は出来上がっていると思いますね」
――逆に、リスクや不安など、マイナス要素は感じますか?
「まだ完成の域に達していないので、不安定さは否めません。つなごうという意識が強過ぎると、何か想定外のミスが起こったときに対応できなくなってしまう。鹿島との開幕戦では、そういったミスから失点を喫しました。攻撃面では組織を重視するあまり、組織から個に切り替えて仕掛けるタイミングを逃してしまう可能性がある。『そこは勝負!』っていう場面でつないでしまうと、相手に脅威を与えられなくなってしまいます。もちろん、パスをつなぐほどボールを失うリスクも高まるわけですから、その状況判断を意識しないと、ただ組織的なサッカーをするだけのチームになってしまう危険性はあると思います」
――さて、今回はエジミウソン選手についてお聞きしたいと思います。このシーンは最前線でボールを受けて、切り返してから左足でシュート、という場面でした。シュートは外れましたが、「らしさ」を感じるプレーだったと思います。
「相手に脅威を与えるプレーだったと思いますね。エジミウソン本来のゴールへの強い意欲を感じるプレーでした。今シーズンのエジミウソンは昨年よりも自分の役割が整理されていて、本来のスタイルを取り戻したように感じます」
――このプレーについても、先ほどお話いただいたような「選択肢」が影響しているのでしょうか。
「そうですね。もちろん影響していると思います。まず、パスを受けたエジミウソンにはセンターバックの茂庭が対応したのですが、平松もカバーに入ったことで達也がフリーになりました。パスコースを相手に意識させながら、この場合は突破を選択する。茂庭を切り返しでかわした時点でも突破とパスの選択肢を残しながらボールを運ぶことができるんです。パス、ドリブル、シュートと3つの選択肢を持ちながらプレーできたシーンだと思いますね」
――シュートは惜しくも外れてしまいました。
「切り返した時点で『左足でファーサイドを狙う』というイメージはできていたと思います。長友に体を当てられてバランスを崩していますが、こういった1対1の局面で、FWの選手がゴールまでのイメージを持ちながらプレーできる状況は、頭の中がしっかり整理されている証拠だと言えます」
――この動きを見ていると、今季はゴール量産が期待できそうな気がします。
「FWにとって、今年はすごくやりやすいシーズンになると思いますよ。ボールをいろんなところから引き出せるし、常に複数の選択肢を持ちながらプレーできる。昨年はイメージを共有できず、頭の中が整理されない状況でのプレーを強いられていましたから、より多くの人が連動している今シーズンのサッカーなら、ゴールという本来の仕事により集中できると思います」
福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、バルドラール浦安のスポーツディレクター、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)









