世は空前の三国志ブーム、なんだそうだ。中国史どころか日本史の知識すらゼロに近い私でも、三国志はいつかは通らなければならない道であろうと思っていた。そのいつかが今なのかもしれない。そう考え、アニメがスタートして1ヶ月以上、これ以上ないほど微妙なタイミングで漫画「蒼天航路」を読んでみることにした。

 主人公は“乱世の姦雄”と呼ばれる「曹操」。幼少期からその破天荒な言動で周囲の人々を惹きつけ、“天下”を論じるなど英雄の才覚を持ち合わせていた。成長してからは乱世の中、政治と戦争により名を挙げ、徐々に天下に近づいていく。家柄や人徳にこだわらず優秀な人材を各所から集め、ついには「魏」の王として君臨。そして対立国「呉」「蜀」との戦いのさなか天に召される。

 この作品は三国志をモチーフとしているため、あらすじとしてはこれ以上書くことがない。一言でいえば、英雄の天下取り物語である。三国志を知らずに読んでもまったく問題はない。というか、なかった。ただし、これが三国志のすべてだと思い込むのは危険なようだ。

 ここからはWikipedia先生の力を大いに借りる。

 この作品の主人公である曹操は、世間一般では悪役とされている。それというのも三国志にはいわゆる“正史”と“演戯”があり、日本でよく知られているのは演戯の方。そこで曹操は悪として描かれているのだ。ちなみに正史が歴史書で演戯は小説であり、この作品は正史に拠っている部分が多いとのこと。もともとがマイナーな方をさらに脚色しているこの作品は、三国志好きにとってはトンデモ系に映るかもしれない。

 三国志に関する知識がまったくなかった私ですら首をかしげたのが「孔明」のキャラクター。孔明がどんな人物かは知らなくとも、“孔明の罠”というくらいだから頭のいい人なんだろうなあ、くらいのイメージは持っていた。コミックス7巻で初登場した孔明は線の細い美少年風であり、良くも悪くも男臭いこの作品で、やっと女子的にもテンションの上がるキャラクターが出てくるかと胸を躍らせた。しかしなかなかストーリーにからんでこず、出る出る詐欺のような状態が長く続いた後に17巻で本格的に登場してみれば、なんというメンヘラ。思わずとあるゲームの明智光秀を思い出してしまった。

 「劉備」にも驚かされた。飄々としており、いい加減で、いざとなれば逃げる。これが本当に三国志の英雄なのかと目を疑った。特に自分が生き延びるために妻と子供を車から放り出すシーンは衝撃的。徹底した人間臭さが魅力的ではあるが、私の考える英雄像とはあまりにもかけ離れていた。

 もちろん漫画なのだからそれなりの脚色はあって当然であり、そこを堪能するのがこの作品の楽しみ方の一つのはず。三国志の入門本としてこれを選んでしまったのはひょっとしたら不幸なことなのかもしれないが、漫画自体に問題があるわけではない。“ブロードウェイのミュージカルのように”三国志を描いた漫画、蒼天航路。この作品で三国志を知ろうなどと思うより、普通の、一漫画として楽しむのが正解なのかもしれない。

(編集部:三浦ヨーコ)


【参照】
蒼天航路 - Wikipedia -

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