今季は、開幕戦から表彰台にあがる活躍を見せた尾崎睦(写真右)・草野歩ペア。<br>(4月26日、会場:愛知県知多市新舞子マリンパーク、撮影・文:胡 多巻)
 悪天候に見舞われながらも厳しい戦いを終えた選手たちは、ホッとした表情で表彰式に臨んでいた。その中で、今やビーチバレー界の顔というべき浅尾美和選手と隣り合わせで、時より突つかれてちょっかいを出されながらも楽しそうに談笑するグループがあった。その浅尾・西堀健実ペア(ともにエスワン)と同世代で、ともにロンドンを目指す「ニュージェネレーション」と称される尾崎睦・草野歩(ともに湘南ベルマーレ)ペアである。昨年、彗星のごとく現れて、ベテラン相手にも臆することなくハツラツとしたプレーを見せた注目の二人だ。

 この2チームはお互いに、あまり意識をしあうようなコメントは普段はしないがライバル心は強い。今回の愛知オープン、2度の対戦があった。開幕第1日目の初戦と最終日の3位決定戦だ。成績は1勝1敗。最終成績では浅尾・西堀ペアが3位で、尾崎・草野ペアが4位だった。

 しかし、特筆すべきは開幕初戦の戦いぶりだ。新しいシーズンの始まりの試合でもあり、どの選手も大きな緊張に包まれる。加えて、唯一天候にも恵まれた日だったので、自然環境で左右されない条件下において彼女たちは完勝に近い形で白星をつかみ取っていた。「作戦勝ちです」と草野選手はニッコリと微笑んでみせたが、昨年からペアを継続し(浅尾・西堀ペアも5年目を迎えた)、オフシーズンもしっかりとトレーニングを積んできた両ペアのガチンコ勝負。勝利を奪った彼女たちからは、昨年見られなかった余裕が感じられた。

 さらに、戦略面について聞いてみると「昨年はともかく思いっきり打っていただけで、周りもあまり見えてなかった。でも今は、ブロックも見て打てるようになったので、ちょっと余裕が生まれたかも」と草野選手。尾崎選手も続いて「個人の稼動域を広げるための練習を合宿中も重点的にやった」と守備だけでなく、攻撃の幅も広がったことに自信をみせていた。

 2試合目の最終日は、3位決定戦は爆風のコートで行われた。どっちに転んでもおかしくないような状況で敗北。3位は逃したものの、後に引きするような負けではないということで、次回のお台場オープン(5/4〜6)ではまた、新たな作戦を練って挑んでくることだろう。昨年の国内戦では1度しか表彰台にあがることができなかったが、今年は常連になるかもしれない。ロンドン五輪まで、新たなる4年間。「ニュージェネレーション」が躍動すること間違いなしだ。

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