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ネット用語の「炎上」は英語で何と表現するのか? ― “バーニング(Burning)”ではなく

2009年04月24日02時27分 / 提供:ニュースブロガー

ニュースブロガー

なんでも評点

 最近(とりわけネットのあちこちを見ていると)、炎上の英語訳は“バーニング(Burning)”だと単純に考えている人が多いように見受けられる。もちろん“Burning”でも燃えていることに違いはない。しかし、「炎上」という日本語は、何かが炎を上げて燃えさかっているさまを表現するために使われる。“Burning”だと「炎」のイメージが湧きにくい。


では、ネット用語ではなく物理的な意味での「炎上」をより的確に表現するとどうなるかというと、主に以下のような表現がある。1)〜が炎上する    go/get/turn/comeなどの動詞+ablaze    burst into flames2)〜を炎上させる    set 〜 ablazeさて、ネット用語の「炎上」は、ブログやサイトがまばゆい炎につつまれるさまを表現する言葉ではない。物理的な炎が上がるのではなく、コメント欄に激しい非難や誹謗中傷が寄せられることを指す。


 さて、一般的な意味での炎上(物理的に炎につつまれた状態)を英語で表現するには上記のような表現があるわけだが、ブログやサイトの炎上の場合も同じような表現が使われるのだろうか。つまり、「私のブログが炎上する」の意味で“My blog turns ablaze”などの表現が使われるのだろうか。Googleで検索してみると、ブログ炎上の意味では動詞の“flame”を使うとする記事が散見される。「ブログ炎上」という名詞句なら“blog flaming”で意味が通じるのだそうだ。

 たとえば、小学館ランゲージワールドというサイトのこちらのコラムを読むと、「ブログ炎上」の英訳語であるが、色々調べた結果、これは「最初に英語がありき」の新語で、英米ではblog flamingと言う(注3)。この訳語に問題はない。なお、下記の訳例は上記の訳語そのものではない。 などと説明されている。最近の筆者の仕事の半分くらいは日本語から英語への翻訳である。たまに、お客様から特定の英語表現(主に専門用語)を指定されることがあるが、怪しいと感じたときは、英語Webを検索してみることにしている。英語Webは専門的文献の宝庫でもあるので、どんなに不自然に感じられても、通用している言葉ならヒットする。ヒットしない場合は、通用しない可能性が非常に高い。

 というわけで、上記のコラムにも、ちと怪しいものを感じたので(コラム執筆者の揚げ足取りをする意図は決してないのだが、こちらも一応専門家なので)、Googleで“blog flaming”を検索してみた。すると、予想どおり「炎上」の意味で使われているらしきものはほとんど見あたらない。ここで、留意しなければならないのは、「ブログの炎上」はあくまで比喩的な表現だという点である。言語が変われば、比喩の対象も変わる。これは諺を見れば歴然としている。「隣の花は赤い」に相当する英語の諺は“The apples on the other side of the wall are sweetest”である。

 日本語で「隣の花」にたとえているものを英語では「向こう側のリンゴ」にたとえている。「赤い」を「甘い」にたとえている。比喩の対象を日英両方で同じものにしようとするのは、往々にして英語として意味をなさない表現をしてしまう原因になる。「ブログの炎上」の場合も、英語圏では「めらめらと燃える」炎を連想しないようだ。


 実は、「ブログ炎上」にもっとも近いニュアンスになりそうな英語表現として、“blog under fire”がある(「大炎上」なら“under heavy fire”)。たとえば、英語Web上で次のようなブログエントリを見つけた。Dior's blog under fireDior has a blog, which, if you can read French, you might find interesting. What you might find even more interesting, however, is that the blog garnered over 220 comments in its first week... from only nine IP addresses.(引用元:http://www.adjab.com/2006/03/08/diors-blog-under-fire/)Dior(ディオール)のブログに最初の1週間で220のコメントが付いたが、発信元のIP アドレスは9つしかなかったという話である。日本ではこれくらいのコメントで“炎上”とは言わないだろうが、実際のところ、ブログが炎上しているときは同一人物がしつこくコメントしていることが多いので、「発信元のIP アドレスは9つだけ」というのは十分あり得る割合だろう。
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