魅力的なキャラクターが満載の漫画「花より男子」。特に主人公「牧野つくし」に女性読者は多かれ少なかれ自分を投影して見ているのではないだろうか。

 明るく元気で友達思いのつくし。筋の通らないことが嫌いで、気に入らなければどれだけ偉かろうと、金を持っていようと容赦しない熱さを持っている。さほど美人ではないが、その心根に多くの人物が好意と信頼を寄せている、少女漫画らしいヒロインだ。

 俺様ボンボン「道明寺司」、植物系美少年「花沢類」、幼なじみ「青池和也」、代議士の息子「天草清之介」、カリスマモデル「織部順平」、策略をもって近づいたはずの「国沢亜門」、登場する男性キャラクターのほとんどがつくしに恋をする。少女漫画はこうでなくてはいけない。平凡な少女の平凡な物語など、自分の人生をふり返るだけで十分だからだ。

 つくしのような存在は現実ではあり得ないとわかっていながら、女性読者は誰しもつくしの中に自分を見、自分の中につくしを見つける。これは理屈ではない、上質の少女漫画にだけ起こる現象なのだ。男性からすれば考えられないかもしれないが、女性は漫画のヒロインの言動から勇気を得、前を向くことができる。それが女性という生き物であり、それに応えるのが正しい少女漫画の在り方なのだ。

 この作品にはつくしの他にも個性的な女性キャラクターがたくさん登場する。幼いころ道明寺にブスだと言われ、見返したい一心で整形手術をした「三条桜子」。つくしを陥れるため近づくも逆につくしに救われる形となり、憎まれ口を叩きながらもいざという時はつくしを支える存在となった。道明寺の母が用意した婚約者「大河原滋」はライバルであるはずのつくしと友情を温め、最後の最後まで身を引いてつくしと道明寺の恋を応援した。

 この2人に共通しているのは道明寺に恋をしていることと、それ以上につくしを大切に思っていること。それほどの魅力がつくしにはあるのだ。

 つくしの親友で“一般庶民”の「松岡優紀」もいい。普段は控えめで大人しいがここぞという時にはつくしとはまた違った強さを見せる、大和撫子という言葉がしっくりとくるキャラクターだ。道明寺、類らの仲間「西角総二郎」への切ない想いは、つくしの破天荒な恋よりも身近に感じる読者も多いことと思う。

 道明寺の姉「椿」や道明寺家の使用人頭「タマ」も要所要所で登場しつくしに力を貸すキーパーソン。彼女らの背筋を伸ばした生き様は読者の胸に刻み込まれ、自分もこうありたいと願わせる力を持っている。余談だが、ドラマで椿を演じた松嶋菜々子は、椿が紙面から抜け出してきたかと思うほどイメージ通りであった。ドラマスタッフに心から感謝したい。

 この漫画は「花より男子」のタイトルとは裏腹に非常に女性キャラクターが元気な作品である。道明寺ら“F4”はもちろん素敵なのだが、彼女らに比べるとどうにもピリッとしない。読者の目を楽しませるだけに飾られた人形、というのは言葉が過ぎるかもしれないが、それだけの存在でも構わないのだと思う。同性から元気をもらい、異性には癒しを求める、これが現代女性の生き方としては主流であるからだ。花男は世の女性たちが求めるものすべてを用意して待っていてくれる、そんな作品である。

(編集部:三浦ヨーコ)


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