「転活パーティー」活況 年収1000万プレーヤーの転職に不況の影響なしか

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 国内の完全失業率は企業による雇用調整を反映して2月時点で4.4%と悪化しているが、実力と経験を備えたビジネスパーソンにはそうした指標はあまり関係ないようだ。

 4月14日、東京・六本木で求人サイト「BizReach」を運営する株式会社ビズリーチの「転活パーティー」が開催された。転活パーティーとは、バーなどでお酒を飲みながら転職活動中のビジネスパーソンと企業の人材担当者やヘッドハンターの出会いの場を与えるお見合いパーティーのことで、リストラが急増している米国でも現在盛んに開催されているという。

 ただし六本木ヒルズ内のバーで、開催された今回の「転活パーティー」は転職希望者と採用企業にある条件が求められていた。それは「年収1,000万円以上の求人」に限定しているという点だ。転職希望のビジネスパーソンは現在の年収が750万円以上に限定されており、企業やヘッドハンターは年収1000万円以上の席を用意して採用活動を行うのだ。

 金融危機が崩壊した中でのイベントだけに、転職を希望する人は金融関係者が多いと思ったが、取材をしてみると、金融に限らずメーカーやIT系企業などに勤めている人も多く、さらに条件の良いポジションを探している若手ビジネスマンの存在が目立った。

 細めのダークスーツをビシッと着こなした橋本哲司さん(仮名・31才)は、現在大手出版社に勤務し海外事業に携わっているという。「現在の年収は1000万円弱。転職は今すぐというわけではないが、いつも探している。将来的には独立したいので、そのための良い経験を積める企業が候補になってくる」という。

 転職企業の条件は年収よりも経験だというが、「とはいっても年収700〜800万円は維持したい。昨年結婚をして子どもが生まれる予定だから。将来のためのステップだとしても、あまり年収を落とすことは妻が許してくれない」と苦笑する。この不況の中、独立することに抵抗や恐さはないのか―とたずねてみると、「景気にかかわらず、成功する人は成功するし、失敗する人は失敗する。要は時代のニーズを反映したビジネスモデルを構築できるかどうかだと思う」と独立へ向けての不安はみられない。

 黒いジャケットの下にラフなTシャツという出で立ちの上地和弘さん(仮名・42才)は転職にもっと積極的。上地さんは15年勤めたIT系企業を今年の6月末をもって退職することが決まっており、企業担当者やヘッドハンターたちと熱心に話し込んでいた。しかし不況にもかかわらず思うような転職先が見つからないという不安はないという。「僕はこれまでの仕事で貴重な経験を積んできた。他の企業でもスペシャリストとしてもゼネラリストとしても働ける」と自信満々だ。今勤めている企業では責任ある立場を任されており、また勤務年数も長いことから、退職する意向を経営陣に告げると慰留されたというが、「年齢的にも最後のタイミングだから」と決意したという。もし転職先が見つからなかったどうしますか―と少々意地の悪い質問をぶつけてみると、「そしたら独立するまで」という答えが返ってきた。

 一方、採用する側の企業にとって現在の転職市場はどう映っているのか。ビールを飲みながら陽気に同僚と談笑していた某外資系IT企業の人事部の白人男性(38才)は、「世の中は不況だけど、日本進出を進めている私の会社は常に人手不足。今日は良い人材に会えるかもしれないと期待して来た」と流暢な日本語で答えた。「年収3000万円クラスのエクゼクティブ(重役)は有名な人の中から選べばいいので、候補を決めるのも楽だけど、幹部候補の年収1000万円クラスの優秀な人材を見つけるのは、この不況の中でもかなり難しい」と苦労しているようだ。幹部候補として求めている人材の条件は「外資系企業なので英語が堪能なのはもちろん、コミュニケーション能力が高く、タフな20〜30代」とのこと。

「転活パーティー」を開催した株式会社ビズリーチ代表取締役の南壮一郎氏は、不況とは言われているけど、年収1000万円以上のクラスの求人は決して少なくないと現状を分析する。「昨年のリーマン・ショック以降、日本では金融関係者のリストラが急増しているが、地方の金融機関はそうしたハイクラスの人材を求めている」という。国内の完全失業率は、企業による雇用調整を反映して2月時点で4.4%と悪化しているが、実力と経験を備えたビジネスパーソンにはそうした指標はあまり関係ないと思わせるほど、今回の転活パーティーは活況だった。

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MONEYzine編集部[著]

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