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【福永泰のスロー解析】山田暢久の"コントロール"

【福永泰のスロー解析】山田暢久の

インタビュー・文●編集部
写真●兼子愼一郎、新井賢一

カメラマンが撮影した膨大な試合写真のストックの中から、現在のレッズを象徴する印象的な連続写真を選び出し、元浦和レッズの福永泰氏がそのプレーを徹底的に解説。試合中に起こったほんの一瞬の出来事を連続写真であらためて見てみると、想像もしなかったさまざまな事象が浮かび上がってくる。今月の写真からはいったい何が明らかになるのだろうか?


山田は広瀬さんのような独特のオーラを持っている

――今回は今シーズンのキーマンの一人である山田暢久選手を取り上げたいと思います。岡野、内舘両選手がチームを離れたことで、1975年生まれの山田選手が最年長になりました。

「今年34歳になると思うんですが、彼は年を取っても全く変わらないですね。性格的には、自分が必要とされていると感じれば1年を通してどんな役割でもきっちりこなせる選手です。もちろん、自分が最年長であることは意識していると思いますよ。それにしても『ついに最年長か……』という感じですね(笑)」

――フィンケ新体制ではどんな役割を求められるのでしょうか。

「監督や戦術にかかわらず、もう大ベテランですから、何よりチームを落ち着かせるべき立場にいると思うんです。今は人に使われるのではなく、人を使う立場になっています。ですから、チームをいかに機能させるかを常に考えていると思いますよ」

――山田選手の場合、その万能性が高く評価されて、さまざまな役割やポジションを任されてきました。

「そこが最も難しいところですね。能力が高いから、チームからもサポーターからも多くを求められてしまう。もちろんすべてをこなせる選手なんですが、若いころと比較すると、彼の特長でもある突破力を全面に押し出すよりも、バランサーとして地味な仕事をこなすことが多くなってきました。その点をフィンケ監督がどう評価し、どんな使い方をするのか。チームを落ち着かせるという点で彼の右に出る者はいないわけですから、監督の起用法にすごく興味を持っています」

――山田選手の能力を生かすためには、どのポジションが最適だと思われますか?

「個人的には、3―5―2にしろ4―4―2にしろ中盤のアウトサイドが最適だと思います。ただ、彼は本当にどのポジションでも一定のレベル以上でこなしてしまうんですよ。FWをやっても結果を残せると思うし、対人の守備力がずばぬけて高いから、センターバックに入っても難なくこなしてしまうはずです」

――今年のレッズは4―4―2で戦うことになりそうです。

「そうですね。まず、山田はとにかく1対1に強い。ライン際のディフェンスではほとんど負けないので、中盤でも最終ラインでもアウトサイドなら『スペシャリスト』と呼べると思います。最も安心して見ていられますね。僕が現役だったころは、山田に向かって突破しようとする相手選手を見ると『あ〜あ、無理なのにな』と思って見ていました(笑)。もちろん、中央でもFWでもDFでも、彼はあらゆるポジションを難なくこなす能力を持っていると思いますが、サイドでプレーしてこそ、その能力が最大限に発揮されると思いますよ」

――では、連続写真の解説をお願いします。2月14日に行われた中央大との練習試合、ボールを受けてからパスを出すまでの一連のプレーです。

「1枚目から2枚目はしっかりボールを止めてルックアップ。2枚目から3枚目の流れで次のプレーを判断していると思います。ただし1枚目、2枚目はかなりのスピードでこなしているはずです。プレッシャーがかからない状況でのプレーですから、素早く止めて、しっかりつなぐ。精度の高いプレーが求められるシーンだと思います」

――この試合ではボランチとしてプレーしました。

「中盤の中でもボランチは攻守のリズムを作るポジションなので、何よりボールを落ち着かせるキープ力と、好守を切り替える判断力、それと、『雰囲気』が大切だと思います」

――雰囲気」というと?

「キープしたときにミスをしない、奪われない、というオーラを持っているかどうか、ですね。山田の場合はそれが備わっているし、状況に応じて演出することができる。昔で言えば広瀬(治)さんのような独特の空気を持っている選手だと思います。その点では、ボランチにも向いていると言えますね。相手の厳しいプレッシャーがかかる場面でも、写真のような落ち着いたプレーをすることができる。年齢的な部分もそうですが、やはり彼は、潜在的に備わっている独特の『雰囲気』でチームを常に落ち着かせるべき存在になっていると思います」

福永 泰 Yasushi FUKUNAGA
1973年3月6日生まれ。東京都出身。172cm、64kg。FC町田→桐蔭学園高→青山学院大→浦和(95〜2001年)→仙台(02〜04年)。95年、浦和にトレーニー契約で加入。たぐいまれなスピードとテクニックがオジェック監督の目にとまり正式契約を結ぶ。FWからボランチまでこなせる万能選手として活躍。背番号10を付け、サポーターに愛された。現在はサッカー解説者、バルドラール浦安のスポーツディレクター、ミスマガジンフットサルチームの監督として活動。福永泰フットサルクリニックをSALU西浦和とSALU和光成増で開催中(http://futsalpoint.net/)。

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