一時期、新しい事業で会社を急成長させて、時代の寵児ともてはやされたW社のE社長。昔からE社長と親しくしていたT氏から聞いた話だ。

 あるときT氏がW社を訪れたときのこと。エレベータでE社長と偶然乗り合わせたT氏は、昔からの調子でE社長に声をかけたそうだ。

「やあ、Eさん。元気ですか」

 すると、まさに時の人として脚光を浴びていたE社長は、T氏を歯牙にもかけないという態度で、挨拶もせずにフンと横を向いてしまったという。そのときT氏は、寂しい気分になったと同時に、きっとこの会社はおかしくなる、そう思ったらしい。

 それから間もなくして、W社の不祥事が明るみに出て、E社長は失脚を余儀なくされた。

 人は自分が偉くなるとつきあう人を選ぶようになり、自分に相応しくないと思う人には態度まで変えてしまうのか。

 いわゆる成功者として世間から尊敬を集めている我がボス。身近で偉い人の人間研究ができるじゃないか! そう思った私は、改めて我がボスを観察しはじめた。

 ある経営者の集まりである「Kの会」に参加した翌日、我がボスは出社するなりうれしそうに話してくれた。

「いや〜、昨日はみんなですっかり盛り上がって、楽しくて夜遅くなってしまった」

「そうでしたか。それはよかったですね。でもあまり無理をなさらないでくださいね。今日はテレビの取材もありますから」

「大丈夫だよ。取材だって別に準備することなんて何もないよ。日ごろから考えていることを話せばいいんだから」

「たしかにそうなのでしょうが……」

「Kの会」といえば、ボスが会社を創業したばかりのころに入会した地域の小さな団体だ。そのメンバーは、地域の中小企業の社長や地主さんなどで構成されている。

 こんなことを言うのもなんだが、売り上げ数千億円を超える上場企業の社長は、その会では我がボスだけなのだ。

 ボスは、我が社の売り上げ規模が数十億円くらいだったころに、同じくらいの規模の企業が集まった経営者交流会にいくつか所属した。しかし十数年で我が社は飛び抜けて飛躍的に急成長した。

 それでも、我がボスは今もなお、そうした団体をやめることなく、当時からのメンバーたちと変わらずに交流を続けている。

 あるとき、そんな「Kの会」のメンバーであるO氏から秘書課に電話がかかってきた。O氏の会社とは、ささやかではあるが我が社と取引があった。

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