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映画に出ない『おくりびと』のキツい現実と本音

2009年04月05日11時00分 / 提供:日刊サイゾー

日刊サイゾー
映画に出ない『おくりびと』のキツい現実と本音
 遺体を棺に納める納棺師にスポットをあてた映画『おくりびと』が、アカデミー賞の外国語映画賞を受賞して以来、"おくりびとブーム"はもはや社会現象になっている。そんな中、実在の納棺師が自らの体験エピソードを綴った、ありそうでなかった本がこのほど出版された。

 4日に刊行された『おくりびとが流した涙』(ぶんか社文庫)がそれ。大手の葬儀関連会社からフリーに転身した一人の納棺師が実際に体験した話を、20ほどの泣けるエピソードとして一冊にまとめたものだ。

「当初は大手の納棺業者さんにオファーがいったようですが、諸事情でそれがまとまらなかった。その後知人を通して私に依頼がきました。一度はお断りしましたが、等身大の自分の言葉を綴ることで、読む方が生と死を見つめ直すきっかけになればと思い、お引き受けしました」(筆者の槙村聡氏)

 オムニバス的にまとめられた本の中身は、「不法滞在の外国人労働者」「記憶喪失の男」「身寄りのない孤独死の老人」「友人の母親」「刺青だらけのヤクザ」など、同氏がこれまで"お世話"をしてきた遺体にまつわる実話の数々。今回の本は読みやすく泣ける話へ落とし込んでいるが、実際の現場は自殺や事故など日常茶飯事。映画の影響で納棺師の入門者が増える一方で、首吊り自殺をして舌が出たままの遺体や、列車に飛び込んでバラバラになった無残な遺体を見て腰を抜かす若い人も少なくないという。

「首を吊ると舌が出たまま硬直しますから、これを中に戻すための専用の小さなジャッキがあるんです。それで隙間を開けてピンセットで少しずつ口中へ戻す。われわれには普通の仕事です」(槙村氏)

 そういった刺激の強い話は今回の本には織り込まれていないが、遺体と正面から向き合い続けてきた筆者の言葉は、一定の重みを持って読む側へ訴えてくる。

「死は病気ではない」「生と死は隣にあわせにある」「寿命を全うする根拠はない」など、日々漠然と生活している一般人にとっては一考の価値がある言葉。映画では見られない納棺師のよりリアルな姿が、くっきりと浮かび上がってくる本と言えるかもしれない。


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