昨年12月にホンダが撤退するなど、混乱の影響を引きずる中で始まったF1の新シーズン。3月29日に決勝が行われた開幕戦・オーストラリアGPでは、ホンダからチームを受け継いだブラウングランプリが1位と2位を独占する波乱の幕開けとなった。波乱はこれに止まらず、国際自動車連盟(FIA)が、昨年度年間チャンピオンで、このレースで3位となったルイス・ハミルトンに対して失格処分を発表。F1界の混乱は、開幕後も収まる気配を見せていない。

開幕前からF1界は大きな変化が続いていた。まず全体のコスト削減と“楽しめるレース展開”を目的に、車体装備やタイヤなどのマシンの大幅な規定変更を実施。さらにシーズン中、グランプリレースの合間に各チームが行っていたテスト走行を廃止した。このため、実際にマシンを走らせて性能を確かめるには各グランプリでの走行に限られ、シーズンを進めながらのマシン進化が難しくなったと言われている。

また、金融危機で経営基盤の見直しを迫られたホンダが、昨年チームの代表として招聘したロス・ブラウン氏にチームの売却を決めたのは開幕直前の3月6日のこと。開幕まで1か月を切った中での船出で、準備が間に合うのかと多くの関係者が苦戦を予想していた。

ところが蓋を開けてみれば、オーストラリアGPではブラウングランプリのジェンソン・バトン(英国)が優勝、ルーベンス・バリチェロ(ブラジル)が2位でワンツーフィニッシュを決め、大きな驚きを呼ぶ結果に。逆に昨年まで圧倒的な強さを誇ったマクラーレンはハミルトンが3位に入ったものの、ヘイキ・コバライネン(フィンランド)はスタート直後にリタイア。フェラーリの2台に至っては見せ場がないまま16位、リタイアという結果に終わり、昨年までと全く違う展開は各チームの混乱ぶりを示す格好となっている。

ほかにもレース終盤には大きな混乱があった。クラッシュによってセーフティーカーが先導した場面で、3番手を走行していたトヨタのヤルノ・トゥルーリ(イタリア)がコースを逸脱。その間に4番手のハミルトンが交わしたのだが、コースに戻ったトゥルーリは抜き返して3番手に戻った。セーフティーカー導入中は追い越し禁止のルールがあり、追い越し返して3位入賞となったトゥルーリにはペナルティの裁定が下され、12位の結果となる。

しかし3位に繰り上がったハミルトンも、事情聴取で虚偽の申告があったとして、結局失格処分に。同時にトゥルーリはペナルティが取り消され、3位入賞となった。これに対しハミルトン所属のマクラーレンは「この結果を受け入れる」としている。

この一件に加え、優勝を飾ったブラウングランプリと3位のトヨタにも車体違反の可能性が指摘されており、4月14日に聴聞会が開催される予定。この結果次第ではさらに結果が覆ることも考えられ、変化したF1が落ち着くまでにはまだ時間がかかりそうだ。