サムライチェス

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アップル社が世界各国で発売したiPhone 3Gの登場で立ち上がったiPhoneアプリケーション市場は急成長を遂げ、インターネットの金鉱のごとく法人・個人を巻き込んだゴールドラッシュを生み出した。アプリケーション開発ができれば、法人・個人に関係なく一攫千金を得られる世界規模のビジネスとなり始めている。
iPhone アプリケーションゴールドラッシュの悪夢 - インターネットコム

一攫千金のチャンスがあるとはいえ、そこは世界市場。国内でのビジネスとはひと味もふた味も異なる。海外戦略で苦戦する企業の尻目に、いち早く世界の舞台で活躍を始めた若者たちの企業がある。
iPhone ビジネスに新進企業「CONIT」は、iPhone 3Gのアプリケーション開発から世界市場へのプロモーション事業まで手がけている。

今回は、彼ら「CONIT」の制作現場での悪戦苦闘を伺った。

■「個人の“思い”のレベルアップ」がなければ世界と戦えない
世界でも注目される企画・作品はどうやって作っているのだろうか?
中島氏は、世界に対峙すうために必要なことは、個人の意識のレベルアップが必要だと説く。
「まず、自分がおもしろいと感じることが大事なわけで、自分のおもしろいと思うことのレベルをあげないといけない。たとえばゲームだと、作るモノ以外の刺激を外からもってこないといけない。アートやお笑いとか、引き出しを多くしていかないといけない。WiiやPSPなどのトレンドも常に押さえたうえで、まだ仕掛けられないないモノを出せるような状況や環境に自分をもっていくことがはじめですね。」

さらに、
「マーケットイン、プロダクトアウト、それぞれにいい面はあるんですが、どちらかに偏りすぎないことが基本。マーケットインを気にしすぎて、今受けるものを開発・リリースすると後追いになるし、プロダクトアウトだけだと独りよがりになります。バランスというか“空気の読み方”を企画立案ので一番のポイントにしてます。」と語る
※費者のニーズを最優先して、商品・サービスを企画・開発する手法
※企業(作り手側)の指向で商品を開発・販売していく手法

「次に留意してのは、身近な人におもしろいと思ってもらえること。これは非常に重要で、はやっているもの・はやるものって、『わかりやすい』というファクターが原則としてある。さわってみて数秒でおもしろさが伝わるじゃないと絶対にはやらない。
作っている側にいると、つくっている最中に感覚が麻痺するので身近な人につかってもらい『気づき』を与えてもらうのが、良い方向に修正する一番の方法なんです。
わかりにくいものは、いくらおもしろくても、伝わらないのです。」
CONIT 代表取締役 橋本謙太郎氏とシニアマネージャ佐々木義一郎氏

橋本氏もわかりやすいというキーワードの重要性を指摘する。
「ゲームでも、難解なRPGといったわかりにくいゲームがはやっていた時期がありましたが、最近の流れってカジュアルというか、シンプルなモノ・わかりやすいモノに戻ってきている傾向がみられます。iPhoneの世界では、時間を何かけて大作RPGを作って出すというテイストではなく、短時間で作ったモノだけどおもしろいというテイスト・感覚がうけいれられるのだと思います。」

なぜiPhone アプリケーションがわかりやすさを重要視するのだろうか。
その理由を、中島氏は、こう解説する。
「iPhoneのアプリケーション自体、身構えなくて使えるモノっていう性質なんだと思います。重たいモノ、そう感じるモノではなくて、すっと入れて、すっと抜けられるものっていう感じですね。
ビジネスアプリケーションにしても、iPhoneのインターフェイスやネット機能をいかして、iPhoneらしさがパッとわかる、そこがポイントだと思います。」

また、iPhoneアプリケーションでわかりやすさが重要な理由は、App storeのシステムにあると橋本氏は指摘する。
「App Storeでは、画像を5数しか出せないので、その5枚の中でユーザーにリーチできないものは駄目で、文字ではなく、ビジュアルでユーザーの心に届かないといけない。だから少ない画面遷移でわからせる必要がる。理想は1枚の画像でわかるものがベストですね。
日本の学生さんがつくった『ライトバイク』などは、1つの画面をみただけで内容まで伝わるんです。『つみねこ』も1枚の画面で、内容もおもしろさまで伝わる、そこが重要なんだと思います。」


■「感情」と「笑い」がキーワード
iPhoneアプリケーションのプロモーションでは、「感情」「わかりやすさ」「笑い」が重要な要素であり、その質も日本的な感覚とは大きく違うという。

●伝わるのは「感情」 だからこその動画
海外で通用させるには、これまでの制止画やテキストといったプロモーションより、動画を利用したプロモーションの効果のほうが、はるかに高いといわれているが、単にわかりやすいというだけではないようだ。

中島氏は、「動画が優れているのは、言葉がわかなくても直感的にわかるという以上に“感情”が伝わるところ。」だと指摘する。

「興奮したり、笑ったりした感情が、はっきり伝わることが大きいのです。またiPhoneは、いろいろなインターフェイスがあるので、それを使っている人を見ることで、ゲラゲラ笑うとか。使っている人の感情がわかるとか、そうした“気持ち(マインド)”を伝える力があることがすごくよいところです。」と、ただわかりやすいといことだけなく、相手の感情を動かす効果の大きさが動画の力だという。
取締役中島敦氏とシニアマネージャ阿久津健氏


橋本氏は、「App Storeの説明は、制止画4枚と文字(テキスト)だけなんです。お金をはらってアプリケーションを手に入れようとするとき、ユーザー心理としては使っているところを見たいじゃないですか。そうしたときにYoutubeとかで使っている動画が見れると『これおもしろいじゃん、買おう』というマインドをかき立てることができます。そうしたおもしろさをダイレクトに伝えられないとユーザーには買ってもらえないじゃないですか。」と説く。

iPhoneはアプリケーションもおもしろいが、アプリケーションを操作する人の姿にこそ、そのおもしろさの神髄があるということだ。わかりやすいアクションで操作する姿を多用したプロモーションで成功した任天堂Wiiのヒットとの類似性もみてとれるところは興味深いところだ。

●日本と世界では、「笑い」の質が違う?
世界でのプロモーションでは、笑いが重要な要素だという。しかし、一口に「笑い」といっても、その質は日本の笑いの質とは少々違うという。

世界で受ける動画には、通称『バカムービー』というジャンルがある。世界では、このジャンルは定番の人気コンテンツとなっており訴求効果も大きい。基本はショートムービーで、その短い時間のなかで爆発的な笑える要素が求められる。

橋本氏は、日本と海外の笑いについて、
「アメリカ(海外)の人たちの“笑い”って、日本とは全然違うんですよ。僕らがどんなにおもしろいと思ったムービーでも海外の人に見せると『はっ?』って言われるんです。逆に海外で受けてるムービーを日本の人に見せると『えっ? なにこれ』と言われたりします(笑)。笑いをテーマとしたプロモーションムービーは、日本人の感覚でつくると海外では全然受けないので海外作品を参考にして作っています。」

中島氏も「『メロディベル』を5人で演奏するムービーを撮ったとき、5人の中の子供が演奏中にコケたNGシーンがあったんです。日本だとNGとなりプロモーションとしては使われないケースなのですが、それをあえて採用して公開したところ、米GIZNODEに取り上げられて大きな反響を得ることができのです。」という。

国内と海外のセンスの違いについて、さらに中島氏は、こう分析する。
「日本のセンスって、『ニコニコ動画』のコメントに代表されるような大きな内輪的ネタ的な嗜好があるように思うのですが、海外の場合はもっと普遍性というかシンプルなんだと思います。ある意味おおざっぱというか、おおらかな感じです。日本だと顔をしかめて引いたりタブーにしてしまうようなことも、笑いだからと許す文化の違いもあるように思いますね。」

次のページでは、アプリケーション開発での苦労について伺った。