今回の【ドラマの女王】は最終回を迎えた、松山ケンイチ主演『銭ゲバ』(日本テレビ系)。その前の放送の最後に、自ら銭ゲバになることを誓った郷里の小屋の中で大量のダイナマイトを体に巻きつけ、火をつける風太郎。そのまま爆発るすかと思いきや、最終回にてなんともNHK『ちゅらさん』的な岡田惠和ワールドをムダに展開させてくれた。もはや、松ケンに未来は無くなった『銭ゲバ』のとんでも最終回をリプレイする。


すべてを見届けようとする、緑(ミムラ)の見守る小屋の中で、ダイナマイトを体に巻きつけ自爆しようとする風太郎(松山ケンイチ)。可愛そうに、なかなかそのまま死なせてもらえない。そこでなぜか、「もしも、風太郎が“不幸な子”で無かったら・・・」という、ドリフのもしもシリーズみたいなドラマが展開してしまうのだった。

“おこずかい”を上げてとせがむ風太郎少年(齋藤隆成)とゴルフクラブを買って帰る父健蔵(椎名桔平)に「二人とも節約よ」などと明るく言う母(奥貫薫)。入院中の母を見舞ったり、遊んでくれたりなぜかやさしい父。

なんか変だと思う間もなく、いきなり大学の合格発表で松ケンと顔を合わせる“顔にアザのない茜ちゃん”(木南晴夏)と、友達になった同級生、本編で緑たちの父を撃った男(柄本時生)、との楽しい大学生活へ突入。その後、緑と同じ造船会社に就職した風太郎は、理想の仕事がしたいと姉御風の彼女に泣きつき、その後茜と結婚し子供が生まれる。風太郎を執拗に追いかけていた刑事(宮川大輔)はやさしいお巡りさんになり、「伊豆屋」は学生の風太郎行きつけの喫茶レストランに変わっている。という、どこかで見たような岡田惠和ワールドが展開されていた。

あれ、『ちゅらさん』?と思えるようなコメディータッチの『銭ゲバ』と、イキイキした出演者たち。「みんな暗いの嫌だったんだね。」そう言ってあげたい。

ここへ来て“直視するのも痛いくらい”にドラマを明るくしておいて「やっぱり自爆してしまう」風太郎。
「世間には自分のような銭ゲバだらけで自分が死んでも次々とあらわれるズラ。」とのメッセージを残し物語は幕を閉じるのだが、最後の長回しと松ケン迫真の演技も空しく訳がわからないまま終わる。

「想像の世界」=「普通の幸せ」を見せたかったのか、“どこで歯車が違ってしまったのか。”という後悔なのか、懺悔なのか、主人公の気持ちも伝わらずメッセージもへったくれもありゃしない。こういった「相手に気持ちを伝える事がヘタクソな若者」が増えると、自暴自棄な犯罪が増えてしまう事だけは何となくわかった。それだけだ。

もはや風太郎・松山ケンイチのイメージダウンが避けられないとして、提供CMのドコモから“普通の大学生を演じる松ケン”に違和感を感じさせないようにどうにか盛り込んでください。とでも言われたのだろうか最終回にして、風太郎の想像として岡田惠和お得意の「明るい」世界を無理矢理「暗いドラマ」に挟み込んだ形になった。

おかげで、ただでさえ変なドラマがもっと変なドラマになった。

(編集部:クリスタルたまき)

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