デジタル化で上下カット!? 『ドラゴンボール改』に不安の声

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 ハリウッド制作の実写版が公開されたばかりで話題を集めている『ドラゴンボール』が、4月よりフジテレビ系列のテレビアニメの"新作"として放映されるという。

 タイトルは、『ドラゴンボール改』。かつての『ドラゴンボールZ』をHDリマスター化して再編集した、リメイク作品のようなものだという。だから"改"。

 過去の作品をDVDやブルーレイ化するときに、デジタルリマスター化して商品化することがあるが、今回は単なる再放送というわけではなく、準"新作"扱いで放送するだけに、変更点がいくつかある。

 まず、音声が違う。野沢雅子はじめ当時のキャストが再集結、セリフは新録のものになる。続いて、主題歌も新しいものに変更される。そして、"鳥山明オリジナルカット版"(フジテレビ公式HPより)ということで、原作をベースにした編集がなされることになるという。これによって、間に挟まるオリジナルストーリーや、1話30分が、ほとんど気をためるだけに費やされたりといった明らかな「引き延ばし」がカットされたりするのだろうか。

 そして今回の「改」編は、デジタル化と同時に、画面のフレーム比も変更される。当時の4:3の画面を16:9に変更しているのである。あるアニメ誌関係者が言う。

「16:9に対応させるために、無理やり上下カットされてるみたいなんです」

 従来のものと新作の、同じカットを並べて比較検証しているサイトもあり、それを見てみると、確かに悟空の頭がヘンな位置で切れていたりと、どうにも不自然なカットに見える。

「デジタル放送は、16:9で放送することが前提になってるので、従来の4:3のものを流すときには、両端に黒い帯が出るような『額縁放送』になるんですが、それを新作でやるわけにもいかない。地デジ移行を進めたい総務省からも、なるべく額縁は控えるように言われているみたいですし、それが上下カットになっちゃったんだと思います」

 映像カットだけでなく、セリフの新録にも違和感を感じる声はあがっている。大手新聞の文化面担当記者が言う。

「かつて、ファーストガンダムの劇場版のDVDが出たときに、声だけ新たに録り直したことがあったんです。声優が同じ人とはいえ、セリフひとつひとつの言い回しに思い入れをもつ人が多い作品なだけに、『コレジャナイ』感あふれるものになってしまい、不評でした。『ドラゴンボール』もそんな感じになりそうです」

 よくベテラン歌手が、節回しを変えて歌うことがあるが、声優だって当時と違う演技をすることもあるだろうし、声質が変わっている人もいるかもしれない。違和感は感じないだろうか。

 ハリウッド版も公開されるとはいえ、再放送の機会も多く、DVDも簡単に見る事ができる、飢餓感は比較的薄い作品ではある。近年でも、『ヤッターマン』(日本テレビ系)や『ゲゲゲの鬼太郎』(フジテレビ系)のように、ゼロから作る新作も多いのに、なぜこのような限りなく再放送に近い形式にするのか。前出の新聞記者は言う。

「コストを抑えて利益を生むには、いいビジネスだと思いますよ。『ドラゴンボール』もDVDシリーズが、劇場版も含めて全部出してしまったので、これをベースに今度はブルーレイ化を狙って、コミックスの完全版のような『買い替え需要』も見込んでいるのではないですか」

 『ドラゴンボール』のコミックスは、1億部以上出た通常版のコミックスの後に出た完全版も、合計2,000万部を超える大ヒット作品になっている。中身が似たような今度の作品も、よりクオリティが高くなっていれば求める人は少なくないであろうことは予想できる。

 「ゲームの世界でも、実際システムやクオリティ的にそんなに変わってなくても、『ドラゴンボールの新作』というだけで、そこらへんのソフトより、よっぽど売れますからね。まだまだドラゴンボールビジネスは需要あると思います」(ゲーム誌ライター)

 主題歌の「チャーラー、ヘッチャラー」とかも含めてのアニメ版『ドラゴンボール』だと思うのだが。放映開始後、「コレジャナイ」声は、どのくらい聞かれるだろうか。
(文=太田サトル/サイゾー公式携帯サイト「サイゾー裏チャンネル」より)


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