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信藤健仁「今をないがしろにしてはいけない」

信藤健仁「今をないがしろにしてはいけない」

インタビュー・文●島崎英純
写真●高須力

「浦和レッズマガジン3月号(3月12日発売)より」

昨季のレッズが不振に陥ったことに対するサポーターのとらえ方は人それぞれ。すでに気持ちを切り替えて前向きに応援するという人がいる反面、クラブに対して依然として不信感をぬぐい切れない人もいるだろう。このようなときこそ、浦和レッズは一つになる必要がある。昨年まで第三者の視点でレッズを見続けてきた信藤健仁チームダイレクターが将来を見据えたチームづくりの重要性を語った。

――まず、チームダイレクター(以下、TD)の役職オファーを受諾した理由をお聞かせください。

「まず、レッズは昨年タイトルが取れなかった。数年間にわたって積み上げられるはずだったものが、積み上げられなかった。そこにはいろいろな問題があったのでしょうが、それをクラブがきちんと検証した結果、チームを変えなければならないという結論を導き
出した。それで私に新たな職務を引き受けてくれないかという話だったのです。チムを変えていく時期に信藤に声を掛けてくれた。それが一番の理由でした」

――レッズからオファーを受けた時期はいつだったのでしょうか。

「昨年の11月ごろです」

――信藤TDは、これまでメディアの世界でサッカーに携わってきました。TDに就任する前のレッズの印象はいかがだったのでしょうか。

「クラブが、何かを変えようとしているんだなという思いは強く感じていました。そして変えようとするときに、単純にクラブ内での入れ替えだけでは難しい状況にきているのかなと。ただし、これまで私は外の世界から第三者の目でレッズを見てきたわけで、『どうしてもレッズで仕事がしたい』と思ってきたわけではなかったのです。私はかつて、浦和(三菱)で3年間ほどサッカーをプレーした経験があります。ただ、浦和以外にもいろいろなクラブで仕事もしてきました。当時は浦和レッズで仕事をするという考えはありませんでした。そのような考えがなかったからこそ、さまざまな視点でレッズの今をメディアの世界で論じることができたのです」

――ただし、そのようにクラブに対する先入観や思い入れが強過ぎない点は、現在の役職を遂行するにあたっては大事な点かもしれません。

「だから私に白羽の矢が立ったのかもしれませんね。肩入れし過ぎてもいけない。ただ、かつて自身がプレーしたクラブが多くのサポーターに支えられて強豪への道のりを歩んでいることはうれしいと感じていました。『レッズはここまで来たんだな』という感慨もありました。ただ、いつも一歩引いた立場でこのクラブを見てきたという思いはあります。そして、私のサッカー人生はいつも、『今から何かをつくり上げるんだ』という環境の中にありました。それはマツダ(現広島)でもそうでしたし、三菱がプロ化しようとしていた時期に、私はこのクラブに在籍していました。またベルマーレ(平塚/現湘南)がJ1に上がりたいという意欲を燃やしていたときも、そのチームに在籍していました。そして横浜FCがクラブハウスや練習場もない時期に、私は監督の仕事を引き受けました。私は常に『今から……』と考えているチームに携わってきたのです。今のレッズも同じ状況。何か運命めいたものを感じます」

――信藤TD自身が、逆境からはい上がる環境を望んでいるのかもしれませんね。

「そうかもしれないですね。単純にビッグクラブに成長したレッズに入って、何も変えることなく今の状況を積み上げようという環境でしたら、このオファーを受けていなかったかもしれません」
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