辻 詩音(撮影:野原誠治)
 2008年11月に発売したデビューシングル「Candy kicks」で、銀色のエレキギターをかき鳴らしながら、少女の様に繊細で感受性豊かな歌声で「大切なのは music」と高らかに叫んだ辻 詩音(19)。2月25日に発売したニューシングル「Sky chord〜大人になる君へ〜」は前作から一転、アコースティックギターを抱え、子供から大人へと変わりつつある彼女が贈るリアルな卒業ソングとなっている。

――プロフィールに、高校1年で音楽をやることを決意して学校を辞めたとありますが、両立という選択肢は無かったんですか?

辻 詩音(以降、辻):そうですね。なんか学校に行ってる時間がすごくもったいなく感じて、授業中とかもずっと歌詞を書いてたりしたんですけど、その時間も曲を作ったりする時間にあてたいなと思って、辞めちゃいました。

――高校以前は、どんな女の子だったんですか?

:中学になりだした頃から学校が嫌いになってしまったので、行ったり行かなかったりして。行っても違う教室で一人で遊んでたり。そういうことが結構ありましたね。

――自分の性格を分析して、どういうキャラクターだと思いますか?

:感情の波がすごく激しいと思います。ジェットコースターみたいに自分でも振り回されたりするので。

――周りの人から、「こういう面があるよね」とか言われることはありますか?

:結構、誤解されやすいというか、「何も考えてなさそう」って言われることが多いんですけど(笑)。小学校〜中学校ぐらいからずっと、外では言えないこととかが結構あったので、家に帰ってはそれを書き続けていましたね。

――最初は歌詞というよりは、自由詩のようなものを書いていたんですか?

:いや、初めて書いた詞から、なぜかAメロ〜Bメロ〜サビというのがちゃんとあって、歌詞として書いてましたね。

――歌詞とメロディーでは、どちらが先ですか?

:歌詞と曲が一緒に出てくることが一番多いですね。デビュー曲とかもそうですし。

――1月で19歳になりましたが、自分の人格が形成されたなと感じるのは、いくつぐらいの時ですか?

:でも多分、今もすごく変わってきてると思います。この前まではこう思ってたけど、みたいなことも最近増えてきたし。多分、あと一年ぐらいは定まらないんじゃないかなと思ってるんですけど(笑)。

――まさに今、自己形成中な感じなんですね。

:そうですね。でも、音楽で本当にもう心からやっていこうと決めたのは、高1の15歳の時だったので、そこは自分にとってもすごく大きな転機だったと思います。

――2008年11月に「Cand kicks」でデビューして、デビューする前に描いてたイメージと、実際にデビューして新たに発見したことや、自分自身や周囲の環境で変化を感じることはありますか?

:デビュー前からずっとブログをやっているので、そのコメントの数とか、あとファンレターをもらったり、そういうことで感じることはあるんですけど。一番変わったなと思ったのは、自分の気持ちというか。もちろん今までもずっとプロ意識はあったつもりでいたんですけど、やっぱりデビューした後、これからライブするっていう時に、頑張ってお小遣いを稼いで観に来てくれる中高生とかもいて、そういう想いでみんな観に来てくれてるんだなって考えると、前とは責任感がすごく変わった気がします。

――今回の「Sky chord〜大人になる君へ〜」というタイトルにもありますが、「大人」のイメージは、あまり良くないですか?

:もう、この曲を書いた時は特にそうで、学校の先生とかも、あんまり好きじゃなかったので。大人って色々と子供の頃もっていた大事な気持ちも忘れていっちゃうんじゃないかな?とは思ってました、その時は。

――自分の中でも子供っぽいなと感じたり、大人だなと感じる部分はありますか?

:子供っぽいなと思うのは、例えば分からないこととか、普通は「フーン」って流したりしなきゃいけないと思うんですけど、詩音は「なんで?」っていう言葉をすごく使うので、そういう時はもう「大人気ないな」って思います。逆に、大人だなって思うのは、今までは自分の立場でしか物事を考えられなかったのが、段々ちょっと「この人の気持ちになって考えてみようかな」っていうことが出来てきてるような気がします、段々(笑)。