【エンタメ潮流コラム】米国ソフトメーカーがリストラを敢行! ゲーム業界の未来を担うのは任天堂かソニーか

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 Electronic ArtsTHQは、09/3期第3四半期業績の不振を受け、それぞれタイトル数の絞り込み、人員削減を発表した。2008年の欧米のゲームソフト市場は過去最高を更新したにもかかわらず、こうしたリストラ策を発表せざるをえない状況について考えてみたい。【バックナンバーはこちら】

■Electronic Artsの09/3期第3四半期決算と今後の方針

 Electronic Artsの09/3期第3四半期連結売上高は、16.5億ドル(前年同期比10%増)。営業損失は3.0億ドル(前年同期は7百万ドルの利益)。従来予想を下回る結果となり、09/3期通期の見通しも下方修正した。

 今後のリストラ策として、10/3期に当初予定していたタイトルを約3割削減し、125タイトル(09/3期は145タイトル)にするという。従業員の11%に当たる1,100名の人員削減、開発スタジオを12拠点閉鎖等のコスト削減策を発表。

 今後のタイトルラインナップとしては、有力タイトルに関しては、クオリティアップを目指して集中的に開発費を投入する一方、 これまで以上に任天堂プラットフォームに注力していく。具体的には、「EA Sports Active」で「Wii Sports」や「Wii Fit」を目指す。さらに、「Dead Space」などのヘビーユーザー向けコンテンツも任天堂プラットフォームへ展開していく予定である。
「Wii Sports」や「Wii Fit」を目指す「EA Sports Active」
■THQの09/3期第3四半期決算と今後の方針

 THQの09/3期第3四半期連結売上高は3.6億ドル(前年同期比30%減)、営業損失は2.0億ドル(前年同期は15百万ドルの利益)。従来は1.2億ドルのコスト削減を公表していたが、さらに1億ドルのコスト削減を発表。

 すでに11月に、
「Saints Row」「Red Faction」シリーズ等の有力タイトルに注力「WWE」シリーズ等の格闘ジャンルの強みをさらに強化タイトルラインナップを変更して、子供向けブランドの利益拡大カジュアルゲームブランドの強化オンラインマーケットの拡大に対応

 という方針を打ち出していた。
格闘ジャンルの強みを強化し、400万本を販売した「WWE SmackDown vs. Raw 2009」 (c)THQ

 「Saints Row 2」は260万本、「WWE SmackDown vs. Raw 2009」は400万本の販売と 、ある程度の成果は生じているもよう、さらに、一部タイトルの開発中止やスタジオの閉鎖などに踏み切っているが、今後も従業員の約24%に当たる 600人の削減などを進める方針だ。

■絞込みは質を高めるが、新しい試みが「ゲーム離れ」を生む可能性も

 両社とも、一部のヘビーユーザー向け有力タイトルについては、開発ラインは強化するものの、開発ライン数は縮小の方向。さらに、任天堂プラットフォームへの傾斜を発表している。こうしたヘビーユーザー向けタイトルを絞り込む理由として、一部のタイトルしか高水準の利益となる販売本数を確保できないためとみられる。

 こうした状況は、日本のゲームソフトメーカーでもみられる現象だ。また、セガは日本での開発タイトル数の絞り込み、人員削減を発表しているが、同様の背景が考えられる。

 今後、各社のタイトル数が増加しなければ、ヘビーユーザー向け市場は安定的に推移すると予想されるが、拡大することは期待しづらいといえる。ヘビーユーザー向け市場は、有力タイトルだけでほとんどのシェアを占める状況となろう。市場全体でみれば、タイトル数が絞り込まれれば、それだけ良質なタイトルの割合が高まり、メーカー、ユーザーともに望ましい結果になるとみられる。

 また、タイトル数を絞り込み、有力タイトルへと開発資源を集中的に投下すれば、従来以上に質が高まる可能性もあろう。しかし、市場の中で新しい試みが生じなければ、数年前の日本の「ゲーム離れ」の状況が生じる可能性もある。米国メーカーの状況はかつての日本メーカーの状況に重なってみえる。(次ページへ進む)


岡三証券シニアアナリスト 森田 正司[著]

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