アルミ地金の輸入関税をふたたび徴収へ 政府による地金購入で業界復調はなるか!

報道によると、中国で一時撤廃していたアルミ地金の輸入に対する関税を3月1日からふたたび徴収し始めるとのこと。税率は5―10%が見込まれています。現在のロンドン金属取引所(LME)におけるアルミ価格は中国国内の取引所に比べおよそ8・5%低水準にあり、中国国内の貿易業者やアルミ製品メーカーのなかには輸入の現物アルミを利用するところも増えています。この状況が続くと、国内産アルミ地金の需要不足が一層進行するのは明白。そこで、政府は国内アルミ製品へ消費の流れを戻すため、業界救済策としてこのたびの関税徴収を決定したとされています。

関税徴収は失策!?

ただ、その効果のほどはというと、疑問符が付くようです。
市場では、これが国内製品の供給過剰に一石を投じるのは難しいとみています。それどころか、関税をかけられた相手国がその対抗策として中国製アルミ製品の輸入制限を強化すれば、本末転倒。今回の措置は国内アルミ業界にとってメリットが薄く、デメリットが増加する、との見方が強まっています。一部では「今回の政策は失敗ではないか?」といった意見も聞かれ始めています。

政府の製品購入、その効果は?
そのほか、情報筋によると、中国政府は近々、業界救済策の一環として国内アルミ地金を購入するとの話もあります。購入量は少なくとも30万トンにのぼるとのこと。昨年12月にも、中国国家物資儲備局(日本でいう国庫の管理を行なう財務省旗下の理財局国庫課)はアルミ精製工場支援のため、国内の8企業から29万トンのアルミ地金を購入しています。しかし、政府の支持はアルミ価格の引き上げには繋がらず、実際の地金価格はさらに低下。業界全体の経営もますます厳しい状況に陥っています。この先例からも、この追加策もアルミ価格の上昇に繋がるとは考えがたい、といわざるを得ません。

アナリストも慎重な姿勢
なお、アナリスト100名を擁する本土系証券の『国泰君安(香港)証券』では、業界トップである『アルミニウムコープ』のレーティングを「リデュース(ハンセン指数のパフォーマンスを5―10%下回る)」に設定。この評価からも専門家が慎重な見方をしていることがわかります。政府は国内経済復活のため、多種多様の支援策を講じており、一部の業界ではその効果が表れるのは時間の問題といわれています。周辺業界が回復すれば、アルミ業界もその恩恵を受けるでしょうが、他業種に先を越されていくことになるかもしれません。政府の措置で迷走するアルミ業界。抜本的な支援策で将来の見通しに明るみがさすことを期待したいものです。


提供:週刊ベンチャーインテリジェンス 
(China Press 2009年2月26日)