人間が出した「宇宙のゴミ」8選:小さくても破壊力絶大なゴミが大量に

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Clara Moskowitz

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高度2000km以下の軌道を周回するスペースデブリの分布。ESA提供

人類は過去50年にわたって宇宙へ果敢に飛び出してきたが、ゴミ捨てのマナーは地球に置き忘れっぱなしだった。ちっぽけなボルトから宇宙ステーション丸ごとまで、宇宙空間にたくさんのものを捨ててきた。

その多くは大気中を落下するうち燃え尽きて消滅するが、大きめのデブリは、宇宙飛行士と宇宙船に衝突のリスクをもたらす。

[スペースデブリの多くは人工衛星が破砕されて生じ、地表から300km〜450kmの低軌道では秒速で7〜8km/s、3万6000kmの静止軌道では秒速3km/sと非常に高速で移動しているため、直径が10cmほどあれば宇宙船は完全に破壊されてしまう。数cmでも致命的な損傷は免れず、さらに数mmのものであっても場合によっては宇宙船の任務遂行能力を奪う(5〜10mmのものと衝突するのは大砲で撃たれるに等しい)。

今年2月12日には、機能停止中だったロシアの軍事通信衛星と、イリジウム社が運用中だった通信衛星イリジウム33号が衝突し、少なくとも500個以上のスペースデブリが発生した。これは、非意図的な人工衛星本体同士の衝突としては世界初のものだが、それまでにも衛星へのデブリ衝突事例は多数起こっている。1996年にスペースシャトル・エンデバーのミッションで若田光一宇宙飛行士が回収した日本の宇宙実験室 には、500箇所近い衝突痕が確認された]

以下には、人間が宇宙に残してきた意外なモノたちを紹介しよう。

1. へら

宇宙空間で熱シールド補修材をテストするため接着剤を伸ばしていたPiers Sellers飛行士は、使っていたへらをうっかり手放してしまった。

この不運な出来事は2006年、スペースシャトル『ディスカバリー号』が国際宇宙ステーション(ISS)に向かう「STS-121」ミッションのさなか、2003年の『コロンビア号』の悲劇を受けて新しい安全技術をテストしていたときに起きた。

Sellers氏は冗談めかしてこう語ったという。「あれは私のお気に入りだった。他のへらには内緒だよ」

2. 10万ドルの工具バッグ(地上から追跡可能)

Heide Stefanyshyn-Piper飛行士は2008年11月、ISSの太陽電池板上で動かなくなった装置を修理するために宇宙で船外活動をしていたとき、工具バッグを手放してしまった。

複数の接着剤ガンやこて、ゴミ回収袋2つが詰まった約14キログラムのバッグには、およそ10万ドルのコストがかかっていた。

その後、アマチュア天文学者たちが周回軌道上のこのバッグを見つけた。北米のネットユーザーなら、『Spaceweather.com』の衛星追跡サービスにアクセスして、工具バッグが地元の上空を通過するスケジュールをチェックできる[アクセスには米国かカナダのZIPコードの入力が必要]。

(2)へ続く


WIRED NEWS 原文(English)

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