世界物流の立役者、造船業界で技術を生かす

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七つの海をまたにかけ、世界の物流を担う船舶を生み出す造船業界が今、空前の好景気にわいている。BRICs諸国の好景気による発注増に加え、環境対応、ハイテク化、省エネルギーなど新技術の開発競争も激化。エンジニア需要も急増中だ。

■世界の港湾をバーチャルに航海する国産唯一の本格操船シミュレータ
 弊社の操船シミュレータは世界の港湾を舞台に、船舶運航にかかわるあらゆる操作をバーチャル体験できる、本格的な国産操船シミュレータです。操船から航海計画の立案、さらには港湾設計まで、マルチ用途のシステムですが、最もよく使われるのは海技者への操船訓練や教育用途です。小型船から大型船、バラ積み船やLNG船などさまざまな船を晴天から風雨、濃霧、また波浪や潮流の強弱など、あらゆる気象条件下で操船できます。ARPAレーダーやECDIS(電子海図情報表示装置)などの舶用機器も実機を使用。この装置はType-C という大型ディスプレイに高精細3Dを表示する簡易タイプですが、最も本格的なType-Aはブリッジからのすべての景色が高精細3D表示されるなど、さらに本格仕様です(藤本弘司)。

■SEA JAPAN2008:エンジンや変速機から航法装置まで船の技術が一堂に
「造船業界は構造不況業種」――ほんの数年前までの常識はもはや通用しない。造船業界はBRICsの経済成長にともなう船舶需要の激増を背景に、空前の活況を呈している。2年に一度開催される日本最大の国際海事展、SEA JAPAN2008の会場はそんな造船業界の熱気を受けてか、多くの造船・海事関係者が集まり大変な活況だった(今年は4月9日〜11日)。

 船舶用エンジンや変速機、スクリュー、電気推進用インバーターなどの重工業分野、公害防止機器や環境保護対策機器、航海計器・通信機器・電波計器、コンピューターシステムや上記のようなシミュレータおよび各種ソフトウェアなど、船をつくるのに必要なあらゆる技術が集う会場の風景は圧巻。全高が人間の背丈よりはるかに大きいディーゼルエンジン、ジェットエンジンと見間違えそうな排気タービンなど、とかく巨大なモノが多く、モノづくり系エンジニアにとっては至る所が「萌え要素」という雰囲気だった。
 中でも注目度が高かったのは、船のバランスを取るためのバラスト水の浄化装置や低排出ガスエンジンなどの環境関連技術。あるエンジンメーカーのスタッフは「フル操業でつくっても商品が全然足りない。開発系から生産系まで、あらゆる分野でエンジニアが足りない」と、人材不足の状況を語る。

■船舶動力電動化のための高出力インバーター――富士電機機器制御
 船舶といえば、通常はエンジンパワーを変速機、プロペラシャフトを介してスクリューに伝え、推進するというのが最もポピュラーな動力システムである。が、昨今の燃料高騰を受け、よりエネルギー効率の高い「ディーゼル・エレクトリック」方式が注目を浴びている。これはエンジンを発電に用い、モーターでスクリューを回すというもので、主に潜水艦などに使用されてきた動力システムである。
 自動販売機で有名な富士電機グループの富士電機機器制御は、そのディーゼル・エレクトリックの出力制御を高精度に行うためのインバーター「FRENIC」シリーズを参考出品した。システム機器事業部駆動企画部の橋本鄰甘部長はこう語る。
「ディーゼル・エレクトリックのいちばんのメリットは通常のエンジン推進に比べ、トータルでのエネルギー効率が高いということです。メイン動力の効率向上だけでなく、エンジン推進ではパワーロスの要因にもなる油圧で舵の動作などを行いますが、これらも電動にすることができるんです」

 ディーゼル・エレクトリックには通常、効率の高い交流同期モーターが使用される。インバーターはこのモーター出力制御に必須の装置であり、FRENIC は最大で1基あたり1200kWの出力を持つ。それを2基並列で搭載すれば最大2400kW、約3200馬力相当の電力を供給することが可能となる。