日本時間の2月11日〜12日頃に発覚した初のアメリカとロシアによる衛星同士の衝突事故ですが、原子炉を積んだ旧ソ連の人工衛星と衝突し、放射能汚染を引き起こす恐れがあると警告されていたり、ほかの衛星が軌道変更するなどの操作が数十年必要になると言われていたりしますが、今まではこのような衛星同士の衝突の確率は「5000万分の1」程度と見られていただけに、新たに700個近くのデブリを生産した今回の事件、関係各所の衝撃は大きいようです。

衝突時の衝撃波はハイパーソニックショックウェーブとなって両衛星を粉々にすることによって、1センチ以上の破片で考えるとおそらく何万ものデブリを生み出し、一説ではこれらのデブリは今後1万年間も衛星にとって最もメジャーな高度の一つである800kmの軌道をものすごい速度で飛び続け、それらのうちどの小さなデブリであっても衛星を著しく破損させることができる威力だそうです。

というわけで、実際にこのまま放置すると地球の衛星軌道上で何が起きるのかをシミュレーションしたムービーを見てみましょう。再生は以下から。
SpaceDebris/OrbitalAnalysis - SSDL

Iridium 33 and Cosmos 2251 Satellite Collision - Analytical Graphics, Inc.

上記ページにある38.0MB(Gaussian)と50.0MB(Evolve-based)のZIPファイルをダウンロードして解凍すれば、中からWMV形式のムービーがそれぞれ出てきます。

これがイリジウム33。地球全体をサービスエリアとするイリジウム衛星電話サービスに使われている衛星です。


コスモス2251、もう使われていなかったロシアの軍事衛星


イリジウム33とコスモス2251が激突する瞬間


粉々になって飛び散っていく



このようにして軌道上に散らばっていき……


地球の周囲をまわりはじめます


緑色の点が既に存在しているデブリ、そして赤色の点が今回の衝突で発生したデブリ。これで約1万9000個のデブリが地球の周りを回っていることに。小さいものも含めるとその数はさらに増大します。


このような感じで飛び散っていくらしい



このまま放置しておくと、デブリ同士が衝突してさらにデブリを生み出し、延々と自己増殖を繰り返す「ケスラーシンドローム」が発生、最悪の場合、人類が宇宙に出ることを阻む原因になりかねないようです。なんとかしなくてはならないということで、「デブリ除去システム」も考案されていますが、今後はどうなるのでしょうか……。

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