高さ10センチメートルの隙間があれば、ベッドの下にも潜り込み、手の届かないところまできれいにしてくれるお掃除ロボット「ルンバ」。ボタンを押すだけで動きだし、掃除が終われば自分で充電用ホームベースに戻るという手のかからなさが人気で、国内販売台数は6万台を超えた。しかし、ひとつが便利になれば、またすぐ次の不便が生まれる。人間はすべてを機械任せにすることなどできないのだ。そんな「ルンバ愛用者」の珍事件をご紹介したい。



ロボット工学をリードする米国アイロボット社により開発された自動掃除機「ルンバ」は、2002年の発売以来、パワーアップを重ね、世界40カ国で、300万台以上を売り上げている。

記者の友人も愛用者の一人だ。彼女が選んだのはタイマー機能を備えたタイプ。たとえば1日1回、午前11時にセットしておくと、出かけている間でも勝手に掃除を済ませてくれているのがたまらない魅力らしい。

その朝、彼女はふだんどおりの目覚めを迎えた。が、未だ夢と現が不分明ななかで、漂ってきた甘い香りにわずかな違和を覚えたという。「いや、これは甘い香りなどではない!」

ことの発端は愛犬(トイプードル)が、なぜかその日にかぎって所定の場所でトイレを済ませなかったことだった。自動起動した「ルンバ」が「食パンにピーナツバターを塗るように」床の隅々までていねいに愛犬の糞を塗りたくってしまっていた。

その部屋の惨状をまさか放置するわけにもいかない。彼女は半休をとることに決め、久方ぶりに自分の手足を掃除のために動かしたという。

しかし、彼女が「ルンバ」に愛想をつかしたかというと、そんなことはない。やっかいな掃除を肩代わりしてくれる愛らしいロボットを手放そうなどという気はさらさらないらしい。自慢のブラシで糞をからめとった「ルンバ」を元のきれいな状態に戻すのには、床の拭き掃除に増して忍耐を要したということだ。

(編集部:田中箇)

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【参照】
自動掃除機ルンバ