世界的な景気後退の中、トヨタが米国工場にて創業初の「ワークシェアリング」導入を発表しました。

ワークシェアリングは、仕事を従業員同士で分け合うことで、雇用を確保する方法です。一定の仕事量を分け合うため、労働時間の短縮や賃金カットが伴いますが、解雇などの雇用不安を解消することができます。
トヨタ:創業初、米でワークシェア 6工場1万2000人対象 - 毎日新聞

ワークシェアリングは、不景気になり、社会的な雇用不安が発生した際にとられる対策としても知られています。

ワークシェアリングの種類
ワークシェアリングには、大きく分けて二つのタイプがあるといわれています。

●雇用維持型
一人あたりの労働時間を短縮し、従業員で分け合うことで企業の雇用を減らさずに維持をします。これには、失業対策としてとられる方法と、定年後の中高年の雇用対策として行われる方法があります。

●雇用創出型
法律によって労働時間を規制することで、雇用を確保する方法です。これには、フルタイム以外の雇用を作り出すことで、育児をしながらでも働ける環境を作ることができます。

■世界でのワークシェアリングの取り組み
ワークシェアリングは、すでに各国で取り組み成果もあがっています。

●世界でもっとも成功したオランダ
ワークシェアリングを一番成功させたのはオランダといわれています。オランダは、1980年代には11.9%であった失業率は2001年には2.7%まで引き下げることに成功しています。

1982年、有名な「ワッセナー合意」によりワークシェアリングが推進されました。
この合意は、労働組合は賃金抑制に、企業は雇用確保・時短に努力することが含まれ、政府は減税対策も行っています。

●ドイツやフランスでの取り組み
自動車メーカーなどを中心に時短による雇用を確保するという雇用維持対策からはじまり、近年ではパートタイムとフルタイムy労働者の差別を禁止する法整備により雇用創出対策に取り組んでいます。

フランスでの取り組みでは、当初労働の時間短縮が少なかったこともあり、あまり効果を得られなかったことから法整備を行い政府主導による時短を推進しています。

●オランダがもっとも成功した理由
ドイツやフランスに比べオランダでのワークシェアリングの成果が高い理由として、サービス分野の成長と雇用の拡大が女性が労働力の成長につながったとも指摘されています。

■日本でもワークシェアリングは成功するの?
オランダの成功が目立ちますが、ワークシェアリングを取り入れた3カ国は、失業率を低下させることに成功し、景気の向上しています。

ワークシェアリングは、労働時間が短縮されてる時間の余裕が生まれ、副業などへの意欲が向上することから多様な雇用と社会の活性化に結びつくといわれています。近年、日本でもワークシェアリングを導入しようという動きもあるようですが、ただ単にワークシェアリングを導入すればよいというものではないようです。

労働時間を短縮して雇用を確保しても、企業が副業を禁じていたり、事業規定で兼業できないなどの規制があると、せっかく時短で時間の余裕が生まれても新しい雇用創出に結びつかないのではとの懸念もあります。また、日本はパートタイムとフルタイム労働者の身分や賃金待遇などの格差がオランダなどと比べて大きく、これらを是正するなどの社会環境の整備もあわせて実行する必要も指摘されています。
パートタイム労働法の改正について - 厚生労働省
正社員とパート、同じ仕事で給料が違うのはどう思う? - livedoorニュース 世論調査


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