不況のなか過去最高益に酔う会社も 意外と知られていない「円高追い風型」の企業たち

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 円高はトヨタ自動車や大手電機メーカーなど輸出企業へのデメリットばかりが注目されるが、その一方で円高の恩恵を得ている企業も少なくない。

 円高が国内企業の収益を圧迫させている原因として指摘されている。世界展開する日本企業、たとえばトヨタ自動車は1円、円高になると350億円、ホンダは200億円の営業利益が吹き飛ぶといわれている。しかし輸出よりも輸入が多い企業にとっては円高が追い風となる。海外からLNG(液化天然ガス)などのエネルギーを調達し、国内で販売する東京ガスは先月30日、2009年3月期連結決算の業績予想を修正し、08年10月時点に予想した税引き後利益90億円が330億円に増える見込みと発表した。円高で輸入コストが減少したことが収益を押し上げた。

 また東京電力など電力10社の09年3月期業績予想も先月末に出そろったが、全社が連結最終損益の予想を上方修正した。発電のための燃料となる原油の輸入コストが円高で目減りしたことや原油価格の急落が要因だ。景気悪化で大規模工場など産業用に供給する電力量が落ち込み、東京電力などはまだ赤字だが、九州、北陸電力の2社は赤字から一転、黒字予想になった。まさに円高による恩恵を受けたかたちだ。

 またビール大手のサントリーは原料調達コストが下がり、08年12月期連結決算が、売上高、営業利益、税引き後利益ともに過去最高だった。他にもファストフードや小売業のような輸入型産業では、この不況のなか過去最高益に酔う企業もある。世界的な景気後退や円高進行から外需依存型企業はきびしいが、逆に電力・ガスのような内需でビジネスが完結するような業種は、円高や輸入原料の価格低下などによって収益がサポートされる。低価格の輸入家具を扱うニトリも円高に加え、消費者の生活防衛意識から不況さえも武器にし、業績が好調だ。

 昨年からの急激な円高の進行によって、多くの輸出企業は円高を吸収できず業績を落としているが、円高は輸入品や原材料を海外から安く手に入れることが可能となり、経済にとってはマイナス点ばかりではない。現地通貨建ての買収額が割安になっているためビール大手が昨秋から、豪州やアジアの飲料メーカーなどを競って買収している。昨年10月〜今年1月に発表した海外企業の買収(提案含む)はキリンホールディングス、アサヒビール、サントリーの3社だけで5件にものぼる。トヨタや電機メーカーなど輸出企業へのデメリットばかりが注目され意外と知られていないが、その一方で円高の恩恵を得ている企業も少なくないようだ。

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MONEYzine編集部[著]

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